各球団の“世代交代”を斬る!
セ・リーグ6球団はDeNAや中日の若返りが顕著な一方、連覇を狙うヤクルトは後れを取るなど、世代交代と現在のリーグ順位に密接な関連があることがわかった。
パ・リーグ6球団も同様に、打者は打席数、先発投手はイニング数、救援投手はセーブ数やホールドポイントなどを基に18人(野手9人、投手9人)を主力級選手とし、その平均年齢から各球団が中長期的にどういうステージにいるのかを調査。外国人選手は除き、年齢は今年なる満年齢とした。
さらに2015年シーズンの主力級18人の年齢と比較し、各球団の主力級がどれだけ若返っているのか、もしくは老け込んでいるのかも調べている。パ・リーグの2015年と2016年(6月13日現在)の主力級18人の平均年齢と増減幅は以下の通り。
【主力級選手の平均年齢・2016年】(※若い順、カッコ内は2015年の平均年齢と順位)
1位 26.5歳 日本ハム(25.8歳/1位) =0.67歳の高齢化
2位 27.1歳 ロッテ(28.0歳/2位) =0.9歳の若返り
3位 28.9歳 西武(28.3歳/5位) =0.6歳の高齢化
3位 28.9歳 オリックス(28.17歳/3位) =0.72歳の高齢化
5位 29.3歳 ソフトバンク(29.3歳/6位) =変化なし
6位 29.4歳 楽天(28.2歳/4位) =1.2歳の高齢化
現在リーグ戦2位と3位につける日本ハムとロッテが、パ・リーグでは飛び抜けて若い。
日本ハムは野手、投手ともに2年連続で最も若く、世代交代というよりは若手が切磋琢磨している印象だ。今のパ・リーグはソフトバンクが絶対王者として君臨するが、平均年齢を見る限り、数年後は日本ハムが逆転を窺える位置にいる可能性も十分ある。
捕手の世代交代で悩む王者
日本ハムに続く若さを誇るロッテも、今季はさらなる若返りに成功。特に野手は昨季の29.0歳から27.1歳に大きく若返った。今後は助っ人に頼らない大砲育成にも期待が高まる。
ソフトバンクでは、野手の高齢化が若干気になる。特に捕手は主力級2人(鶴岡、高谷)がともに今年で35歳。黄金時代の継続には後継者育成が急務だ。一方の投手陣は東浜が台頭し、千賀が先発として完全復活を果たすなど、順調な世代交代が進んでいる。
西武は開幕から不振に陥った森の二軍調整が続いた。その分の打席が鬼崎、坂田、上本といった30代の選手に回っていたため、平均年齢は高めとなっている。
そんな中、森は交流戦でようやく復活の兆しを見せ始めた。先発投手では高橋光成や菊池ら強力な投手たちを抱えているだけに、ともにチームの将来を担う素材であることに変わりはない。
高齢化ワンツーがリーグでも下からのワンツーに...
高齢化部門で1位、2位となった楽天、オリックスは成績でも低迷している。昨季もリーグで唯一負け越した2チームだけに、若返りが急務のはずだが、世代交代はなかなか進んでいない。
オリックスは主力級18人のうち、昨季から入れ替わったのはわずか3人のみ。これはセ・パ合わせて最も少ない記録である。
特に野手は実績のある選手が多く、なかなか世代交代が進めづらい状況。中長期的な視点での改革が必須といえよう。
楽天も同様で、野手を中心に高齢化が進んでいる。しかし、ルーキーの茂木が開幕から全試合に出場。オコエもここに来てレギュラー定着も見えてきており、このルーキー2人が中心になるとなれば、一気に若返りが進みそうだ。
2012年のドラフトから一貫して高校生を1位指名している楽天だけに、数年後先にその戦略は成功だったと言えるのか…。今から楽しみだ。
パ・リーグはとにかく1強時代が続いているが、そんな王者ソフトバンクを引きずり下ろすためにも、他の5球団の世代交代は急務である。
パ・リーグは将来有望な若手の宝庫でもあり、どの球団が打倒ホークスの先陣を切るのだろうか。世代交代の行方を見守りたい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)