コラム 2016.07.26. 10:05

【白球つれづれ】猛虎の迷走

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先発メンバーから外れて連続試合全イニング出場が667試合で途切れ、ベンチで試合を見守る阪神・鳥谷(中央)=マツダ (C)KYODO NEWS IMAGES

白球つれづれ~第17回・阪神タイガース~


 チーム関係者はもちろんのこと、関西のスポーツマスコミもほっと胸をなでおろしたに違いない。金本阪神がようやく球宴後の後半戦で初白星を挙げた。甲子園で宿敵・巨人に3連敗を喫し、広島に乗り込んでも赤ヘルの勢いに呑まれてまた連敗。やっと24日の3戦目で黒星地獄から一息ついた。

 何せ、関西では勝っても負けてもスポーツ紙の1面はタイガース。いや次のページもさらに次のページも阪神また阪神。これだけ負けが混むと新聞も売れなくなる。「持ち上げるだけ持ち上げて、ある日から手のひらを返したように叩く」とは阪神報道の定番?だが、これも熱烈な猛虎党の気持ちを代弁するからなのだろう。38勝52敗3分け。最下位に沈む現状には、球場内に怒声が渦巻き最近では「戦犯」の筆頭格として鳥谷敬へのバッシングが激しさを増していた。

 「もうこれ以上、トリをさらし者にするわけにはいかん」と監督の金本知憲が苦渋の選択を明かしたのは前日の試合前のこと。これまで667試合の連続試合フルイニング出場(歴代4位)を続けてきた主将を先発から外した。皮肉なことにこの手術が功を奏したかのように、打線がつながって久々の勝利。鳥谷も代打で登場すると適時打を放ち、連続試合出場の記録は1702に伸びた。

 だが、これで反転攻勢と強気にはなれない。「超変革」を掲げてスタートした金本阪神だが、あまりに誤算と迷走が続いている。要因は大きく分けて三つある。


金本阪神の誤算と迷走…


 まず、最初に目を覆いたくなるのが戦力補充の失敗だ。かつての首位打者であるⅯ・マートンと絶対的守護神だった呉昇桓(オ・スンファン)が昨年限りで退団。この穴を埋めるべく新たに獲得したのが、打者はⅯ・ヘイグ、投手は新ストッパー候補のM・マテオとR・ドリスだ。しかし、開幕直後に故障や不振で姿を消し、何とか一軍で恰好がついているのはマテオだけ。ここ一番でタイムリーが出ない。勝負所で守り切れない。これはフロントも含めた失態と指摘されても仕方ない。

 次にチームリーダーの不在が表面化したこと。金本監督は就任と同時に鳥谷にその役割を託した。「これまでの成績で満足してほしくないし、もっと声も出してチームを引っ張ってもらいたい」と期待の大きさを語ったが、結論から言えば適任ではなかった。もともと職人肌で物静かな男。チームが好スタートを切っていれば問題はなかったのだろうが、黒星が増えるとすべての重圧を背負ってしまった。高山俊、江越大賀、北條史也ら新たな戦力を思い切って起用する分、力不足とミスも起きる。「三番・主将」が定位置だった鳥谷の打率は現在2割3分台の低迷ぶりだ。

 そして首脳陣の迷走も指摘しなければならない。象徴する場面をいくつか挙げる。開幕直後のヤクルト戦で新守護神のマテオを9回から延長12回まで投げ続けさせている。球数は61球を数え、その後の登板に悪影響が出た。また7月8日の広島戦ではエースの藤浪晋太郎が序盤に崩れるとそのまま8回161球で8失点。「懲罰続投指令」と騒がれた。いずれも常識からは外れている。野手出身の監督が未熟でもそれをカバーするコーチ陣まで声を上げられないのならチームの空気も澱んでいく。

 旧来の生ぬるいチーム体質からの脱却を狙い、数年かけても戦う軍団を、と船出した金本阪神。現実は若手への切り替えも不十分なら、ベテランの力量も引き出せていない。まさに「負のスパイラル」に陥っている。12球団ワーストのチーム打率(.241)が急によくなるとは思えない。それでもファンは次につながる光明を求めている。まずは26日からのヤクルト、中日と続く本拠地・甲子園の6連戦にせめて意地を見せることだ。何せ今季の阪神はホームで17勝25敗(1分け)とからきし弱い。8月は高校野球に甲子園を明け渡す。「死のロード」を前に死んでしまっては虎党も浮かばれない。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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