防御率でリーグトップに躍り出たマー君
ヤンキースの田中将大がここに来て絶好調だ。
現地時間9月14日(日本時間15日)のレッドソックス戦に先発すると、7回を4安打1失点の好投。“奪三振0”は、楽天時代を含めて日米通算249試合目にして初めてという珍しい登板にもなったが、打たせて取る投球でメジャー最強打線を翻弄した。
降板後、リリーフ陣が打たれたため、メジャー自己最多の14勝目はお預けとなったものの、防御率は2.97となりア・リーグのトップに躍り出た。
記録づくめのタイトルへ
今季のア・リーグは、チーム防御率トップのインディアンスですら3.80。防御率3点台のチームは僅か3チームだけという“打高”ぶりが際立っている。
野手の方では打率3割超えの選手が12人いるのに対し、投手で防御率2点台はなんと田中が唯一。ちなみに、ヤンキースの先発投手で防御率2点台を記録したのは、1997年のデビット・コーン(2.82)とアンディ・ペティット(2.88)が最後だ。
防御率のタイトル獲得となれば、1980年のルディ・メイ以来で36年ぶりの快挙。右腕に限ると、1952年のアリー・レイノルズ以来で64年ぶりと言うから、田中に対する期待は日に日に高まっている。
田中が所属しているヤンキースの本拠地ヤンキー・スタジアムは、レフトよりライトが狭く作られている。ということは左打者に有利な作りとなるため、右投手は左投手よりも成績が悪化しやすい。
実際、田中もホームでは防御率3.86とやや失点が目立つものの、これがロードの登板ではリーグダントツの防御率2.11。別人のような安定感で本拠地でのマイナスを取り返しているのだ。
日本人の防御率ベスト5も過去に4人だけ
なお、過去にメジャーで最優秀防御率のタイトルを獲得した日本人選手はいない。防御率ベスト5に入ったというのも、以下の4人だけだ。
【防御率5傑に入った日本人】
2位 2.54 野茂英雄(ドジャース/1995年)
3位 2.90 松坂大輔(レッドソックス/2008年)
3位 2.66 岩隈久志(マリナーズ/2013年)
4位 2.83 ダルビッシュ有(レンジャーズ/2013年)
日本人初の防御率タイトルへ、追い風も吹いている。
防御率2.76ながらも規定投球回まで3回1/3足りずに“隠れ1位”だったタイガースの新人マイケル・フルマーが、17日の登板で5回6失点と乱丁。防御率は3.03まで悪化した。
フルマー以外にも、ホワイトソックスのクリス・セールが3.03。次いでレッドソックスのリック・ポーセロが3.08となっている。
レギュラーシーズン残りを計算すると、登板はあと2試合ないし3試合...。田中はどうにかリードを守り抜き、日本人投手初となる防御率タイトルを手中に収めることができるのか。最後まで目が離せない。
文=京都純典(みやこ・すみのり)