全日程が終了するのが各チームでバラバラのNPB
日米ともにポストシーズンの試合がはじまり、2016年のプロ野球も残り1カ月ほどになった。プレーオフやクライマックスシリーズ進出争いを見ていると、日本では今季のパ・リーグのように進出チームがある程度早い時期に決まることがある。一方で、MLBではレギュラーシーズンの最後まで確定しないことも珍しくなく、プレーオフ進出を懸けたワンゲーム・プレーオフ(進出決定戦)が行われることすらある。
NPBとMLBでは球団数がまったくちがうことから、MLBでは接戦がうまれやすいのかもしれないが、MLBのレギュラーシーズン終盤が盛り上がる要素は他にも存在する。NPBでは、シーズン終盤になるとチームごとで消化試合に差が出てくる。全日程が終了する日もチームによってバラバラだ。今季を例にあげれば、セ・リーグで最も早く全日程を終了したのは中日で9月28日。阪神、巨人、広島、ヤクルトは最も遅く10月1日に最終戦を迎えた。パ・リーグはさらに開きがあり、最も早かったのは西武で9月28日。それより1週間遅い10月5日にロッテと楽天が全日程を終了した。
優勝やクライマックスシリーズ進出を争っているチーム同士の残り試合が異なるため、何勝何敗でいけばいいのか計算しづらく、全貌が見えにくい部分もある。新聞などで目安の勝敗一覧表が掲載されるが、パッと見ただけではわかりにくいこともあるだろう。
シーズンを途中で打ち切ることもあるMLB
その点、MLBはシーズン終盤になっても各チームの残り試合がほぼ変わらないため、プレーオフ進出争いの星勘定がしやすい。また、MLBでは全30チームが同じ日にレギュラーシーズンを終える。今季の場合は10月3日にレギュラーシーズンを終え、同5日に各リーグ勝率上位2チームが地区シリーズ進出を懸けて1試合で決着をつけるワイルドカードゲームを行った。レギュラーシーズンから間隔を空けず、プレーオフに突入するという考えが徹底されているのだ。
MLBでは「この日までレギュラーシーズンを終えること」と決められていて、仮にその日までに全日程を消化できず、その試合が優勝やプレーオフ進出に関係ない場合は打ち切ってしまうことも特徴だ。今季では、アメリカン・リーグのクリーブランド・インディアンス、デトロイト・タイガース、ナショナル・リーグのマイアミ・マーリンズ、アトランタ・ブレーブス、シカゴ・カブス、ピッツバーグ・パイレーツが162試合ではなく、161試合でレギュラーシーズンを終えた。
レギュラーシーズンの閉幕日をきちんと設定し、シーズン途中で中止になった場合はダブルヘッダーを組み込んで試合を消化していくのがMLBのスタイルだ。だが、NPBではレギュラーシーズンの最終戦からクライマックスシリーズまでに間隔が空いてしまうことが多い。今季のDeNAのようにアマチュアチームとの試合や紅白戦で調整することもあり、間延びしてしまう印象が否めない。
MLBと異なり、NPBの球場が野球以外のイベントで使用することが多く、営業面からもダブルヘッダーを組むことは難しいかもしれない。しかし、全チームのレギュラーシーズン最終戦の日を予め決めておき、そこから2日空けてクライマックスシリーズファーストステージ開幕とすれば選手もファンも待たされている感じは少なくなるのではないだろうか。
例えば、今年のカレンダーで考えれば10月5日に12球団揃ってレギュラーシーズン全日程を終了。8日からファーストステージ、12日からファイナルステージをはじめるようにすれば、リーグ優勝チームの試合感覚がそう鈍ることもない。レギュラーシーズンで予備日をもう少し増やすなどすれば、不可能なことではないはずだ。
クライマックスシリーズがはじまり今季で10年目。日程面をもう少し選手やファンに寄り添ったものにするという方向に行くべきなのかもしれない。
文=京都純典(みやこ・すみのり)