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横浜に歓喜をもたらす“小さな大魔神” 山崎康晃が打たれない理由

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横浜に笑顔をもたらす男・DeNAの山崎康晃©BASEBALLKING
 現在セ・リーグ単独首位を走るDeNA。中畑清体制4年目にして破竹の勢いで勝ち進むチームは、42試合を戦って26勝16敗。貯金「10」は、日本一に輝いた98年以来、17年ぶりの快挙だ。

 そんなチームの快進撃を支えているのが、ルーキーながら守護神に任命された22歳右腕・山崎康晃。チームが長年苦しんでいた“ストッパー”という課題を大卒1年目で見事に埋め、ここまでリーグトップの16セーブを記録している。

 山崎は、4月22日の阪神戦から5月8日の巨人戦まで登板9試合連続でセーブをマーク。これは、90年に中日の与田剛が記録した8試合連続を上回る、新人のプロ野球連続セーブ新記録だった。

 翌日の試合で同点の10回から登板したため、連続記録はそこで途切れたものの、ここまでのセーブ成功率は16/16の100%とこちらも驚異的。本人もヒーローインタビューで公言していた“小さな大魔神”へ、着々と歩みを進めている。

 特に評価が高いのが、奪三振能力。凡打であっても犠飛や進塁打、または味方の失策などが絡んで失点を許してしまうと、その1点が命取りになってしまうのがストッパーの宿命。そのため、最も安全にアウトが取れる“三振”を奪う能力に長けている投手というのは、抑えとして重宝される。

 ここまでの山崎が奪った三振の数は、22回と1/3で28個。記録している奪三振率(※9イニング投げたと仮定した場合の平均奪三振数)は、11.28。これはリーグのストッパーでは断トツで、唯一の10点台超えとなっている。

 またその中でも顕著なのが対左の強さ。奪った28個の三振のうち、実に左打者から奪ったものが22個に上る。

 キャンプなどで視察した各球団の007たちは当初、左足を極端に三塁側へと踏み出して投げる独特の“インステップ投法”から、「右打者には厄介」との声が多数上がった。そのため、山崎には左打者をぶつけていくケースが多く、ここまでの対戦は右打者が23人なのに対して左は57人。およそ2.5倍も多く左打者と相対している。

 しかし、フタを開けてみると対右の被打率が.217に対し、対左の被打率は.140。左打者のほうが圧倒的に苦戦していることがわかる。

 その裏には、ある“魔球”の存在がある。本人が「ツーシーム」と自称する、左打者から逃げるようにして沈んでいくボールだ。

 “自称”としたのは、そのボールについては見解が分かれることがしばしばあるため。握りを見ると、挟んで「フォーク」のようにも見えるし、解説者によっては「スプリット」ではないかと述べる人もいる。

 本人は「ツーシーム」と公言したが、後にテレビ番組で一般的な「ツーシーム」よりは深めに挟み、ただし「スプリット」よりは浅く握っているということが明かされた。

 このボールが左打者相手におもしろいように決まり、これほどまでの奪三振を可能にしているのだ。

 恐るべきペースでセーブを重ねていくルーキーは、5月の半ば、チーム42試合の時点で16のセーブを記録。早くも昨年の三上朋也が打ち立てた新人のシーズンセーブ数の球団記録まであと「5」と迫った。

 ちなみに、新人のプロ野球記録というのがまたも90年の与田剛で31個。これまで開幕から1カ月半で16個を積み上げてきた山崎にとって、あと「15」という数字は手の届かないものではない。

 ただし、セーブをつけるためにはチームの勝利が必要であり、たとえ山崎がどれだけ好調を維持していても、チームが勝てなければその記録への挑戦権を得ることはできないのだ。

 好調DeNAはこれからも勝ち進み、山崎に記録への挑戦権を与えることができるか――。

 山崎の願いが叶い、新たな記録が誕生した時、横浜17年ぶりの悲願はきっと手の届くところにまで近づいていることだろう。

新人のシーズンセーブ記録

1位【31セーブ】 与田剛(中日・1990年)
2位【28セーブ】 三瀬幸司(ダイエー・2004年)
3位【25セーブ】 永川勝浩(広島・2003年)
4位【22セーブ】 牧田和久(西武・2011年)
5位【21セーブ】 三上朋也(DeNA・2014年)
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