ソフトバンクの松中信彦は29日、ヤフオクドーム内で会見を開き、今季限りでの退団と、他球団で現役続行の道を探ることを明らかにした。

　決断に至った理由として、「優勝の瞬間に居られなかったのは19年間で初めての経験。優勝して一軍に上げてもらい、ベンチに行った瞬間『あ、ぼくのポジションは危ないんだ。もう教えることも、全て教えたんだ』という気持ちになりました」と語った。
　
　これまでの野球生活で印象に残っていることには、「2003年に優勝したときは、小久保さんが怪我をされて、初めての選手会長で重圧の中で戦って、優勝できて日本一になったこと」を挙げ、「僕の中ですごく成長させてもらいました」と振り返った。

　また、打席では「（松坂）大輔から打った3本塁打の試合」と、自身が長らく苦しんでいたポストシーズンから、「11年・CSファイナル第2戦の代打満塁本塁打」の2つを挙げている。

　今年は多くのベテラン選手がユニフォームを脱ぐ決断をして行った中、「このまま引退するよりも、もっとボロボロになるまで野球を続けたほうが後悔しないのではないかと思い決断しました」と現役続行の意思をはっきりと表明。ホークス一筋19年の男は、活躍の場を求めて新天地を探すこととなった。

　なお、会見を行った29日は、プロ野球公式戦の開催日だった。松中は涙の会見からまもなくして始まった楽天戦に代打で途中出場すると、6点を追う9回の第2打席で、守護神・松井裕樹から今シーズン初安打となるタイムリーヒットを記録。試合には敗れたものの、詰めかけたファンを最も沸かせるプレーを見せ、健在ぶりをアピールした。

　鷹に多くの栄光をもたらした男の行き先はどこになるのか。今後の動向から目が離せない。

松中信彦　#3

・生年月日：1973年12月26日（41歳）
・出身：熊本県
・経歴：八代一高～新日鉄君津～ダイエー・ソフトバンク（96年・D2）
・ポジション：内野手
・投/打：左投/左打
・身長/体重：183センチ/97キロ
[今季成績] 7試　率.111（9－1）　本0　点1
※ファーム 77試　率.299（184－55）本11　点38
[通算成績] 1777試　率.297（5968－1767）本352　点1167
☆最優秀選手 2回（'00・'04）
☆首位打者 2回（'04・'06）
☆本塁打王 2回（'04・'05）
☆打点王　3回（'03～'05）
☆最多安打 1回（'04）
☆最高出塁率 3回（'04～'06）