個人成績や得失点差だけを見れば、阪神が独走していても不思議ではない。ところがオールスターブレイクを迎えた時点で、阪神は50勝40敗1分、巨人は50勝40敗2分。勝率.556の同率首位で並んでいた。
その均衡が、後半戦最初の3試合で少し崩れた。阪神が3連勝を飾った一方、巨人は1勝2敗。8月2日終了時点で、両軍の差は2ゲームに広がった。
勝敗の分かれ方も対照的だった。阪神は1点差試合を2度制し、巨人は1点差で2敗。接戦の結果が、そのまま順位表に映った形だ。
もちろん、各2試合だけで「勝負強さ」の違いまでは語れない。ただし、阪神が優位に立つ数字は、後半戦に入って突然現れたものではなかった。
NPBが「記録による表彰」の対象とする個人12部門を見ると、8月2日時点で阪神勢が9部門のトップに立つ。打撃6部門のうち5部門、投手6部門のうち4部門を占めている。
打撃では佐藤輝明が打率、安打、打点、出塁率で首位に立ち、森下翔太が本塁打でトップ。投手では髙橋遥人が防御率、勝利、勝率、才木浩人が奪三振で先頭を走っている。
もっとも、9部門はこの4人に集中している。選手層全体の差を表す数字ではない。それでも、阪神の投打の軸がリーグ最高水準にあることは確かだろう。
個人成績だけではない。チーム単位の違いを、より分かりやすく示しているのが両者の得失点差だ。
阪神は94試合で353得点、295失点のプラス58。巨人は95試合で310得点、301失点のプラス9にとどまる。試合数に1試合の違いはあるが、得失点差には49点もの開きがある。
興味深いのは、失点数の差がわずか6点しかないことだ。チーム防御率も両軍ともに2.90。少なくとも得失点の内訳を見る限り、差の主因は阪神が43点上回る得点力にある。
では、なぜオールスター時点では並んでいたのか。最大の理由は交流戦だ。
阪神は6勝12敗と大きく負け越した一方、巨人は10勝6敗2分と勝ち越した。この18試合だけで、両軍の間には5ゲーム分の差が生まれた。阪神がリーグ戦で築いた優位を、交流戦の不振が打ち消していたことになる。
ただ、追う巨人にも明確な強みはある。マルティネスがセーブ、田中瑛斗がホールドポイントで首位。終盤を担う個人2部門では巨人勢が先行しており、阪神がこのまま一気に引き離すと決めつけるのは早い。
それでも後半戦に入り、阪神は巨人が落とした接戦を拾い、再び差をつけ始めた。球宴時点の同率首位は、本当に両軍の力が拮抗していたからなのか。それとも、交流戦が阪神の攻撃力の差を一時的に覆い隠していただけなのか。
現在の2ゲーム差は、まだ小さい。だが個人タイトル争いと得失点差を見れば、ここから首位争いの景色が変わっていってもおかしくない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)