2試合にかかった時間は“9時間24分”
「もう、だれでもいいから、ホームラン打ってくれー」。
15日に行われたロッテ-楽天の一戦。延長10回が終了した後、ロッテベンチからある選手が大声で叫んだ。
無理もない。2試合連続の延長戦。2試合に費やした時間は、実に9時間24分だった。
2試合続いた乱戦に思わず本音が...
この前の日、14日の試合で起きた両先発の乱調が、この事態の幕開けだった。
ロッテのスタンリッジと楽天のレイ。両助っ人右腕が共に大乱調で2回途中KO。6失点(自責6)と同じ数字で降板した。
その後も火のついた打線は止まらず、両軍合わせて34安打が飛び出す超乱打戦に。9回終了までで4時間半近くを要した打ち合いは、延長10回に井口のサヨナラ打で決着。ドキドキした試合展開と言うよりは、精根尽き果ててしまうような試合。最終スコアは13-12、今シーズンのパ・リーグ最長試合となる4時間57分で“どうにか”試合が終わった。
そして、その悪い流れは翌日まで続いた。
15日の試合はまずロッテ先発の唐川がつかまり、4回表の時点で0-5とリードを許す。打線も楽天先発の釜田に対して4回に1点を返すが、なかなか反撃の糸口を掴めない。
そんな中で迎えた6回、“事件”は起きる。ロッテはかんたんに二死を取られるも、そこからデスパイネが安打で出塁。すると釜田が突如乱れ、そこから3連続四球で押し出し。さらに井口も連続で押し出し四球を選んで1点を追加すると、つづく加藤には適時内野安打が飛び出して4-5とあっという間に1点差まで詰め寄る。
ここで楽天は釜田から左腕の浜矢広大にスイッチするも、代打で登場した細谷圭がなんと逆転の満塁弾。この回一挙7点を挙げ、ロッテが試合をひっくり返した。
ところが、すんなり行かないのがこの対戦。8-5とロッテが3点リードして迎えた8回に松永がつかまり、島内の適時二塁打で2失点。代わった益田も代打・枡田に適時打を浴び、8-8の同点に追いつかれた。
その後、ロッテは9回、10回とサヨナラの機会を作るものの、得点には結び付かず。そんな中で思わずベンチから飛び出た言葉が、冒頭の言葉だった。
ファンも疲れた2日間...
連日の乱打戦は、2日間で両軍合わせて59安打、42得点。プロ野球史上に残る、連日の大乱戦となった。
連勝したロッテはもちろんすごいが、ここまで粘りに粘った楽天もすごかった。ただし、見た目はド派手な試合だが、両軍ベンチからしたら心中穏やかではないはずだ。
まずは投手陣。2日間とも先発が試合を作れず、さらに慌てて出てきた中継ぎ陣も打ちこまれるといった散々な内容だった。
そして、投手に責任があるのは一目瞭然ではあるのだが、それ以上に捕手の責任が問われてもおかしくない。この対戦は伊東監督と梨田監督という、日本を代表する“名捕手指揮官”による対決でもあった。それがこの内容では、両指揮官共にがっくりだっただろう。
何とか決着がつき、ホームのロッテファンにとっては最高の週末となった。しかし、試合後は喜びの表情とは裏腹に、疲れた様子で駅へと向かうファンも多く見られた。
9時間24分の死闘。選手はもちろん、ファンも疲れた長い長い2日間だった。