苦戦が続く西武
勝てない…とにかく勝てない…
西武がもがき苦しんでいる。
交流戦の広島戦以降、9カード連続の勝ち越しなし。交流戦を終えてからは5勝15敗で借金14の5位。首位・ソフトバンクとは21.5ゲーム差、3位・ロッテとも12ゲーム離れており、クライマックスシリーズ進出は非常に厳しい状況となっている。さらに、振りむけば、最下位のオリックスがゲーム差2.5まで迫ってきているという、まさしく“背水の陣”だ。
そんな中、決して派手ではないが輝きを放っている選手がいる。それが金子侑司だ。
リーグ2位の24盗塁をマーク
入団4年目の26歳。今季は4月5日に昇格して以降、スタメンに定着。7月21日までで78試合に出場し、打率.285をマークしている。
特筆すべきは“走力”だ。金子の盗塁数は21日時点でリーグ2位の24。球宴前の最終戦を終えた時点で2014年に記録した21盗塁に並んでいた。
“30盗塁”金子が今季の目標に掲げている数字だ。まずはこの数字が必達だと繰り返す。「上ばかり見ていても数字が増えるわけじゃない。まずは、30盗塁しっかりと決めること。警戒されている場面で走ることとか、チームに勢いをつける盗塁ができれば」。
金子が一番意識しているのは「塁に出ること」。「毎年この時期、調子が良くないので…」と話す。
確かに、これまでの金子は夏場、調子を落としているきらいがある。昨季は故障により、7、8月の出場なし。2014年は、3割を超えていた5、6月に対して、7月は.293、8月は.178と調子を落としていた。ルーキーイヤーの2013年も7月は.167、8月は.200と、全体の.223を下回っている。
そう話したのも7月13日、3試合連続で無安打に終わった日だった。
しかし、今季の7月の打率は21日時点で.280。好調だった6月の.326に比べると物足りなさはあるが、球宴後の2試合では5安打放っており、3盗塁を決めている。
試合に出るためには…
「試合に出るためには…」
今季、金子から何度もこの言葉を聞いた。クールな表情とは裏腹に、この言葉からは“アツい”思いが伝わってきた。
金子の本職は遊撃手だが、今季初スタメンとなった4月5日の日本ハム戦では「2番・右翼」で出場。その後も、遊撃、三塁、右翼と様々なポジションを任せられており、今季出場した78試合のうち、実に43試合で外野の守備についている。7月18日のロッテ戦では左翼も守った。
「大変か大変じゃないかと言われれば大変だけど、試合に出るためには頑張るしかない」
打順にしてもそうだ。1番、2番、7番、8番、9番…。「1番を打ちたいという気持ちはありますが、使ってもらうためには。打順が変わってもやることは変わらない。場面場面で最低限のやり繰りをするだけ」。戸惑いがないわけではない。ただ、置かれた状況で咲かなければいけないことを、金子はわかっている。
そんな金子に指揮官も信頼を置く。失策はリーグトップの14を数えるが、金子がレフトの守備についた7月18日の試合後にも「金子は外せないんでね」と話した。
窮地の西武を救うキーマンとして
21日時点での打率は、日本ハムに次ぐリーグ2位の.267。本塁打数、打点トップのメヒア、安打数トップの秋山翔吾など、リーグ屈指の強力打線にも関わらず、この順位に沈んでいる。
その要因の1つには、流れの中で点が取れないことにある。「ホームランでしか勝ててないんですよね…そこはみんな気づいているんじゃないかな」と話すのは上本達之。
7月18日の試合は秋山の二発で勝利。8-4で勝利した7月8日のオリックス戦でも、メヒア、森友哉、中村剛也、浅村栄斗の本塁打で5得点。一発に依存しているという事実は否定できない。
そこでやはり、金子の活躍が一つのカギになってくるだろう。金子が塁に出て、足でかき回す。これが上手く機能すれば得点のパターンは増えるはずだ。
決して力のないチームではない。ただ、今の西武はどこか歯車がかみ合っていない。その狂った歯車を直す存在が今、早急に必要とされている。
走れ!金子。窮地の西武を救うキーマンとして…