赤ヘルの系譜 ~3番打者編~
四半世紀ぶりに訪れた歓喜に、広島の街が真っ赤に燃えた。
高く厚い壁を乗り越えた今だからこそ振り返りたい25年前の記憶...。あの時の広島と今の広島を比較していくこの企画。今日は“3番打者”を見ていこう。
文句なしの“2代目ミスター・赤ヘル”
駒沢大からドラフト1位指名を受けて広島に入団し、この年が3年目。前年に移籍した高橋慶彦の後釜としてショートのレギュラーを掴むと、全132試合に出場。31盗塁で2年連続の盗塁王に輝き、170安打はリーグ最多安打。打率はリーグ4位の.324で、プロ入り後初となる3割超も達成と飛躍の1年となった。
ちなみに、西武との日本シリーズでは第7戦の最後の打者となるものの、シリーズ通して活躍。打率.333を残して優秀選手に選ばれている。
その後は1994年から主将&チームリーダーに就任すると、翌年には打率.317、32本塁打、30盗塁で当時史上6人目となるトリプルスリーも達成。名実ともに広島を引っ張る存在となった。
カープ一筋17年の野球人生で、通算安打は2020本。最多安打3回に盗塁王3回と輝かしい成績を残した。引退の直後には球団から背番号「7」を永久欠番にする打診もあったというが、野村はこれを断り、後に自身が監督となってから堂林翔太に継承することになる。
引退後も監督としてチームを初めてのクライマックスシリーズへと導くなど、“ミスター赤ヘル”と呼ぶにふさわしい功績を残した。
次代の“ミスター・赤ヘル”へ
歓喜から25年...。広島に久々の優勝をもたらした3番は丸佳浩だ。
プロ9年目を迎えた男は、ここまで打率.292、本塁打は19本をマーク。打点86はすでにキャリアハイの数字である。
打点リーグトップの新井貴浩が後ろの控える中、状況によっては後ろに繋いで大量点を呼び込み、勝負所では自ら決める。そのセンス光る打撃で幾度となくチームを救った。
野村と同様、走攻守揃った左打者。どこか細身な印象もあるが、実は“脱いだらスゴい”マッチョマン。パワーも着実についてきており、今年こそ自身初の20発超えへ期待が高まる。そしてその先には当然、トリプルスリーも。
来年でプロ10年目。同世代の「タナキクマル」トリオの中で一番早くプロ入りした男が、チームを黄金期へと導く。
【3番打者・比較】
▼ 野村謙二郎
・ポジション:三塁手
・投打:右投左打
・実働:17年
[1991年] 132試 率.324(524-170) 本10 点66 盗31
[通算成績] 1927試 率.285(7095-2020) 本169 点765 盗250
▼ 丸佳浩
・ポジション:外野手
・投打:右投左打
・実働7年
[2016年] 134試 率.292(527-154) 本19 点86 盗22
[通算成績] 812試 率.271(2836-768) 本84 点347 盗116
※成績はすべて9月14日終了時点のもの