赤ヘルの系譜 ~4番打者編~
四半世紀ぶりに訪れた歓喜に、広島の街が真っ赤に燃えた。
高く厚い壁を乗り越えた今だからこそ振り返りたい25年前の記憶...。あの時の広島と今の広島を比較していくこの企画。今日は“3番打者”を見ていこう。
実は固定されていなかった4番
開幕当初は来日3年目のロッド・アレンが4番に入っていたものの、極度の不振から離脱。代わって4番を務めたのは外野手の西田真二である。
PL学園高から法政大を経て、1982年のドラフト1位で広島へと入団。プロ13年間で通算の出場数は787試合。100試合以上に出たのはこの1991年が唯一であったが、本来の主砲が離脱した穴を埋める勝負強い打撃でチームを支えた。
ここ一番の集中力は凄まじく、優勝がかかったゲームで決勝タイムリーを放つなど、“記憶に残る”タイプの選手。また、若いチームにおいて生え抜き9年目の31歳はベテラン。打線の中央でチームに安心感を与える役割も担っていた。ハタチの前田智徳や、25歳の野村謙二郎が自由にプレーできたのも、西田がいてこそだったのだ。
みんな大好き“新井さん”
さて、では今年のチーム4番は...?これは満場一致で答えが返ってくるであろう。新井貴浩である。
エルドレッドやルナが起用されることもあったが、貢献度・印象度いずれにしても文句なし。39歳は帰ってきた古巣で再びの輝きを放っている。
一度は広島を離れ、同リーグの阪神へと移籍。移籍元年には広島ファンからブーイングを浴びせられたこともあったと言う新井。そんな男は2014年オフに阪神を自由契約となり、再出発のために古巣へと帰ってきた。
再び赤いユニフォームに袖を通した男は見事に復活。復帰2年目の今シーズンはここまで125試合の出場で打率も.300ちょうどを保ち、打点はDeNAの筒香嘉智と並ぶリーグトップの98打点を記録している。
筒香が40発を放っているのに対し、新井の本塁打はここまで18本。いかに新井が勝負強く、ここ一番で一本を放つことができているのかがお分かりいただけるだろう。
さらに今年は通算2000本安打の偉業に、300号本塁打も達成。個人としても、チームとしても充実した一年を過ごした。
打線の柱にしてチームの支柱...。この男の復活なくして25年ぶりの歓喜はなかっただろう。
【4番打者・比較】
▼ 西田真二
・ポジション:外野手
・投打:左投左打
・実働:13年
[1991年] 102試 率.289(315-91) 本7 点51 盗6
[通算成績] 777試 率.285(1412-402) 本44 点226 盗21
▼ 新井貴浩
・ポジション:一塁手
・投打:右投右打
・実働18年
[2016年] 125試 率.300(437-131) 本18 点98 盗0
[通算成績] 2213試 率.278(7560-2102) 本305 点1228 盗41
※成績はすべて9月15日終了時点のもの