予測不能の短期決戦 単純に大舞台を楽しむべし
今週10月11日、ついに両リーグのCSファーストステージが開幕する。パ・リーグの出場チームは2位オリックスと3位日本ハム。レギュラーシーズンこそオリックスが6ゲーム差をつけているものの(10月5日終了時点)、今シーズンの対戦成績は12勝12敗と全くの五分である。
ただ、オリックスは、クローザー・平野佳寿の突然の乱調もありシーズン終盤に失速。9月以降の成績に限って見れば、14勝13敗と勝ち越した日本ハムに対し、オリックスは12勝15敗。さらに直接対決は日本ハムの2連勝中だ。勢いという意味では、日本ハムに分があるという見方もある。
しかし、開催球場はオリックスが勝率.632を誇る本拠地・京セラドームだ。ならば、やはりオリックスが優位なのか……。CSは短期決戦ということもあり、その展開を予測するのは非常に困難。もはや、あれやこれやと予想するのではなく、単純にビッグイベントを楽しむべきかもしれない。
成長著しい2年目の二刀流に 球界のエースが貫禄を見せつけるか
その楽しみをさらに助長する存在がある。日本ハムの大谷翔平だ。2年目の今季は2桁勝利、2桁本塁打という離れ業をやってのけ、“二刀流”を批判する外野の声を黙らせてみせた。しかも、防御率2.61は堂々のリーグ3位、11勝はリーグ5位である。ともにチーム1位の数字であり、2年目にして名実ともに日本ハムのエースに上り詰めた。
栗山英樹監督は、CS開幕戦の先発に大谷の起用を示唆している。レギュラーシーズン最後の登板となった10月5日の楽天戦では、2イニング限定の登板ではあったものの、球速162キロを連発するなど体調は万全。最高の状態で初のCSのマウンドに立つ。
ただ、もちろんオリックスも大エースをぶつけてくる。大谷に対するのは金子千尋だろう。今オフFA市場の目玉は、現在投手3冠。両リーグ通じて唯一の防御率1点台をたたき出すなど、間違いなく現在のNPB最高の投手である。
多彩な変化球を偏りなく投げ分け、しかも全てが一級品。おまけにそれらの変化球とストレートと腕の振りが同じとあれば、並の打者では手が出ない。ただ、その金子を打者・大谷はとらえている。2年間の通算対戦成績は9打数5安打1本塁打。マウンドではクールな金子といえど面白いわけがない。静かに闘志を燃やしているはずだ。
しかも、先発投手としての二人の対戦は過去にない。球界最高の投手と、球界最速の投手。二人の初対戦にふさわしい大舞台の準備が整った。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)