コラム 2014.11.25. 12:48

検証 2014年、カウント別で見る猛打を奮ったパの強打者たち

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今季27本塁打のうち15本はファーストストライク時に放っている中田翔選手 [Getty Images]

バッテリーが苦労する初球の入り方 初球本塁打が最も多い打者はあの和製大砲


 ボールカウントは0-0からフルカウントまで12種類ある。野村克也氏は「すべてのカウントの中でバッテリーが最も嫌だと思うのは、相手の考えが読みにくい初球だ」といった言葉を残しているが、実際のところ今シーズンはどうだったのだろうか。まずはその状況下における数字を今季のパ・リーグで振り返ってみよう。

 パ・リーグで規定打席に達した選手の初球時の打率は.353。野村氏の言葉通り、初球から振っていったほうが打者にとって圧倒的にいい結果が残っている。打率上位の選手ほど初球時の打率は高く、打者にとっていかに積極性と確実性が重要かということがわかる。中でも、今季、大躍進を遂げた柳田悠岐(ソフトバンク)は初球で77打数39安打、打率.506、6本塁打と驚異的な成績を残した。初球ホームランが最も多いのは中田翔(日本ハム)で10本。

 特にホームラン打者を迎えた時「打者の狙いを探るためにも、初球はボール球から入ったほうがいいかもしれません」といった言葉がよく聞かれる。たしかに、初球時の打率は高いが、初球をボールから入れば安全になるのだろうか。

 初球を含めたファースト・ストライクの打率は.355と、わずかではあるが初球時よりも高い。ファースト・ストライクの本塁打が最も多いのも中田で15本。今季中田が放った27本塁打の半分以上はファースト・ストライクを打ったものだった。

 ファースト・ストライクの打率が最も高かったのは、シーズン途中の入団で史上初めて本塁打王に輝いたエルネスト・メヒア(西武)で.465。メヒアとともに、本塁打王を獲得した中村剛也もシーズン通算打率は.257ながら、ファースト・ストライクの打率は.318と高くなっている(ちなみに、同一シーズンに同一球団から複数の本塁打王獲得者が出たのは2リーグ制以降では初めてのことだった)。

 バッテリーからすると、初球の入り方も重要だが、ファースト・ストライクをいかにして奪うかがカギとなるのである。


2ストライクと追い込まれても3割近い打率 最も打ち取りにくい打者は誰だ?


 バッテリーが気をつけなければならないのが初球やファースト・ストライクなら、打者にとっては2ストライクが最も苦しいカウントだ。パ・リーグで規定打席に達した選手の2ストライク時の打率は.205で、首位打者を獲得した糸井嘉男(オリックス)でも.246まで下がる。

 しかし、中には2ストライクをさほど苦にしない選手もいる。今季、パ・リーグ2位の打率.327を残した銀次(楽天)は、2ストライクと追い込まれても打率.298を記録している。そして、45三振は今江敏晃(ロッテ)の43三振に次いで少なく、際立ったバットコントロールの良さを見せている。今江より三振が多いといっても、今江はパ・リーグで3番目に少ない23四球しか選んでいないことや、フルカウントになった回数がリーグ最少の19回という数字からもわかるように、早いカウントから仕掛けるタイプだ。一方、銀次はフルカウントになった回数が51回ある。追い込まれても打率3割近くを残す銀次と対戦する時は、頭を悩ますバッテリーも多いのではないだろうか。

 2ストライク時の本塁打が最も多い選手はメヒアで、打率は.174だが11本もスタンドに運んでいる。メヒアは、0ボール2ストライク以外すべてのカウントで本塁打を打っていて、どんなカウントでもパワフルなスイングを見せていると考えていいだろう。中村剛也も、2ストライク時に9本塁打を記録していて、メヒアに次いで多い。三振も多いが、一歩間違えば本塁打を放つ両選手は、来季以降も相手チームにとって脅威の存在となるだろう。

文=京都純典(みやこ・すみのり)

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