コラム

伝説となった宇野、達川……『珍プレー好プレー』で人気を博した選手たち

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『珍プレー好プレー』では必ずヘディングシーンが流れていた宇野勝[Getty Images]
宇野勝 ,

“俺たちの時代”80~90年代のプロ野球を語り尽くそう -80年代珍プレー選手編-


 最近はすっかり減ってしまったが、オフシーズンになると民放の各TV局でプロ野球の珍プレーや好プレーを集めた番組が人気を博していた。中には、その年もっとも面白かったプレーに関与した選手が出演して『珍プレー大賞』として表彰されるものもあり、「珍プレー好プレー」と言いつつ、番組の8割方は「珍プレー」が紹介され、お茶の間に笑いを誘ったものである。近年は世の中の嗜好の多様化によってプロ野球の人気が相対的に落ちたせいか、地上波でそうした番組を見る機会が減ってしまったのは少し残念だ。

 だから、というわけではないが、今回はプロ野球の珍プレーが注目され始めた我らが80年代に話題をさらった懐かしい珍プレー選手をランキングにして紹介していこう。あの頃に思いを馳せてほしい。


「ヘディング事件」で有名になった宇野 数々のパフォーマンスで人気となった達川


 まず第1位は、定番の宇野勝(中日)だ。おそらく30歳代後半以上のファンなら記憶に残っている率100パーセントだろう。だが、若いファンのために今一度おさらいをしておこうか。

 宇野が珍プレーの王者となったのは、81年の対巨人戦で起こった『ヘディング事件』がきっかけである。当時、中日のエースだった星野仙一の投球を、後にロッテの監督も務めた山本功児が打った打球は詰まった小フライとなってショート後方へフラフラ。背走して打球を追ったショートの宇野は、体をホームベース方向へ回転させたあと、やや後退りしながら捕球態勢に入ったものの、ボールはグラブに入らず宇野のおでこを直撃! これがどういうわけかものすごく弾んでしまい、レフト線後方へ転々と転がってしまった。

 このプレーに巨人、中日のベンチサイドは大爆笑。リアルタイムで見ていた観客やTV中継を見ていた視聴者は、プレー直後こそ何が起こったのかよくわからなかったが、宇野が“ヘディング”していたことが後に判明すると大変な話題となり、オフの珍プレー集放送によってさらに火がついてしまった……という流れだ。

 珍プレー集は、当初、フジテレビの夜23時頃に放送されていた『プロ野球ニュース』の一企画コーナーに過ぎなかったが、この宇野の“事件”によって人気が急上昇し、83年から『珍プレー好プレー大賞』という番組が別途放送されるようになったのである。本人は屈辱このうえなかったようだが、皮肉なことにこのプレーによって宇野の選手としての知名度も一気に上がり、人気選手となった。

 続いて第2位は達川光男(広島)。この御方もある意味定番であろう。今でもたまに放送されるのが、打席で体の近くに来た投球を避けながらも当たったように見せかけ、デットボールを勝ち取るというもの。本当に当たったかどうかは疑わしいときもあったが、ユーモラスなアピールで審判の目をくらます姿がファンの笑いをさそった。また、他にもハードのコンタクトレンズをつけており、プレー中にそれが外れてしまい、敵味方関係なく周囲の選手がグラウンド上をウロウロと探すシーンもよく登場した。


みのもんたのナレーションを勢いづけた 元祖・珍プレー男の存在


 そして、第3位は羽田耕一(近鉄)だ。誰それ? とか思っている人、まだまだ甘いですぞ! 実は、この羽田こそ、宇野のヘディング事件が起こる少し前にサード守備のエラー連発ぶりが『珍プレー集』で取り上げられ、当時ナレーション担当だったみのもんたに最初に名指しでやり玉に上げられていた『元祖・珍プレー男』なのである。エラーするたびに「羽田さ~ん」、「うわ、また羽田さん!?」などと軽快に突っ込みを入れるみののナレーションは、後に珍プレー集とセットで人気になったが、そのルーツがここにあったのだ。 

 その意味では、宇野と達川に羽田の存在が加わってようやく「80年代・珍プレー選手のクリーンアップ」が完成すると言えるだろう。ちなみに、羽田はその他にも「江夏の21球」で知られる広島対近鉄の日本シリーズや、近鉄が連勝すれば逆転優勝だった「10.19」のダブルヘッダーなど、歴史に残る試合のカギを握る重要な選手として、それぞれ登場している。その名を知らなかった方は、ぜひ、この機会に憶えておくことをおススメしておく。

文=キビタキビオ(きびた・きびお)
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