ヤンキースは最多の20種類が永久欠番
先日、ニューヨーク・ヤンキースが元外野手で通算2336安打のバーニー・ウィリアムズ氏の「51」、強打の捕手としてワールドシリーズに6度出場したホルへ・ポサダ氏の「20」、通算256勝を挙げた左腕アンディ・ペティット氏の「46」を永久欠番にすると発表した。
メジャー史上最高のキャプテンとも言われ、昨季限りで引退したデレク・ジーター氏の「2」も永久欠番となる予定で、そうなるとヤンキースの1ケタ背番号はすべて永久欠番となる。つまり、今後はヤンキースの新たな選手が1ケタの背番号をつけることはなくなるのだ。
また、メジャーには複数球団にまたがり永久欠番になっている選手が10人もいる。たとえば、史上最多の通算5714奪三振の記録を持つノーラン・ライアン氏はエンゼルスで「30」、アストロズ、レンジャーズで「34」がそれぞれ永久欠番である。
また、背番号ではないものの、球団専属のアナウンサーやオーナーを欠番扱いとして讃えるのもメジャーの特徴である。
日米では明らかに背番号の扱いに違いが……
一方、日本では選手の永久欠番は巨人の6人が最多で、阪神が3人、中日と広島が各2人、西武が1人とMLBと比べ圧倒的に少ない。功績をあげた選手を讃え、「名誉番号」や「準永久欠番」とし、一定の期間空き番号としておくほうが一般的である。選手以外では、日本ハムが初代オーナーの故・大社義規氏の野球殿堂入りを記念に「100」を永久欠番に制定した。
日本とメジャーで永久欠番の数に差があるのは、背番号の扱い方に違いがあるからに他ならない。日本では、支配下登録枠が70あり、育成枠の選手は3ケタの背番号となっている。極端な話だが、1番から70番までが選手で、71番から99番が監督やコーチがつけるとする。ヤンキースのように20種類も永久欠番を制定すると、新たな選手の背番号がなくなってしまう恐れがある。
メジャーでは、メジャー登録枠が40。各球団に3Aからルーキーまでのマイナーチームがある。各傘下のチームごとに背番号登録が異なり、原則として新加入の選手は空き番号から選択することになっている。メジャーから傘下のマイナーの選手で1番から99番の背番号を分け合うことはなく、各階級のチームで背番号を決めるのだ。もちろん永久欠番をつけることはないが、例えば50番の選手がメジャーにも3Aにも2Aにもいることがある。メジャーの選手がリハビリ調整のためにマイナーに合流する場合は、メジャーの選手に背番号を譲るのが慣例となっている。
2007年にピッツバーグ・パイレーツとマイナー契約した桑田真澄はスプリングキャンプでは52番、傘下のルーキーリーグでは18番、3A・インディアナポリスでは25番と階級が上がるたびに背番号も変わった。
名選手を讃えるのは素晴らしいことだが、あまりにも多いと価値が薄れるのではないだろうか? とはいえ、日本人選手で誰がメジャー初の永久欠番となるのかという楽しみもあるのだが……。
文=京都純典(みやこ・すみのり)