優勝候補にあげられながら投打に誤算が相次ぐ……
昨季は、勝率2厘差で優勝を逃したオリックス・バファローズ。オフに大型補強したこともあり、今季は優勝候補にあげる声も多かった。
しかし、開幕4連敗。1勝したあとにまた4連敗。その後も1引き分けを挟んで6連敗を喫するなど、17試合終了時点のタイミングでは2勝14敗1分と、パ・リーグの借金をすべて抱える状態となってしまった。
エースの金子千尋がヒジの手術のリハビリで離脱した以外にも、リリーフの比嘉幹貴、岸田譲、平野佳寿がケガ。佐藤達也は不振で二軍落ちするなど、昨季圧倒的な力を発揮したリリーフ陣が揃ってベンチから外れたのは誤算だった。
野手陣に目を移しても、中島裕之は打率.216と低迷し、4月21日以降はケガで一軍登録を外れた。4番として期待されたブランコはケガでわずか4試合、高い出塁率を誇るヘルマンもケガで8試合の出場にとどまっている。
12球団屈指とも言われた打線だが、ほとんどベストメンバーを組むことができず、いずれもパ・リーグ5位のチーム打率.241、112得点と期待を裏切る数字となっている。
そのほかの数字で気になるのは、初球時の打率があまりにも低い点だ。
糸井は初球時の成績が13打数ノーヒット
ボールカウントは0-0からフルカウントまで12種類あるが、バッテリーが最も嫌だと思うのは、打者の考えが読みにくい初球と言われている。
今季、オリックスで規定打席に達している選手の初球成績を見ると、安達了一が16打数5安打、打率.313と比較的打っているのが目立つぐらいだ。
そのほかの選手は、坂口智隆が6打数1安打の打率.167。平野恵一が15打数3安打の打率.200。昨季の首位打者に輝いた糸井嘉男にいたっては、初球時に13打数ノーヒットと、ヒットを1本も打っていない。
規定打席に達していない選手でも、T-岡田は7打数1安打で打率.143、小谷野栄一が13打数2安打で打率.154と主力が初球をあまり打てていない。
昨季は、規定打席に達した中では糸井が打率.353、平野が.317、安達が.395、T-岡田が.350と初球に高い打率を残していたことを考えれば、今季の成績は信じがたい数字だ。
まだ打数が少ないとはいえ、オリックスの初球時の成績はあまりにも悪すぎる。開幕から連敗が続き、打線全体の振りが小さくなってしまっているのか、初球から思い切り振れなくなっているのか。はっきりとした理由はわからないが、初球を打って凡退するケースが増えれば、攻撃にリズムはうまれないだろう。
エース金子千尋の復帰のメドが立っていないのは心配だが、岸田と平野佳は一軍に復帰した。開幕直後に比べればチーム状態は、上がってきていると見ていいだろう。
あとは打線が積極的な打撃を見せること。とはいえ、ただ闇雲に初球から振るのではなく、甘い球が初球にきたら確実に捉えることだ。積極的、かつ甘い球をしっかり捉えるという打撃の基本を改めて徹底してほしい。逆襲のチャンスは、まだ十分残されている。
文=京都純典(みやこ・すみのり)