1993年以来のプレーオフを狙うブルージェイズが10連勝と乗りに乗っている。7月下旬にトレードによる複数の大型補強を敢行。先月28日時点で借金1、首位ヤンキースに8ゲームもの差をつけられていたが、わずか2週間半でヤンキースを抜き地区首位に立った。
一時は独走するかに見えたヤンキースは5連敗を喫し完全に失速。ワイルドカード争いではセーフティーリードを保っているとはいえ、このままずるずる後退してもおかしくないほどチーム状態は悪い。
こういう苦難のときほど、エースに懸かる期待、そして重圧は大きくなる。昨季痛めた肘の不安と闘いながらも、超大型契約を結ぶ田中将大へのそれはとてつもなく大きい。前回登板のブルージェイズ戦は6回2失点の好投を見せるも、味方の援護がなく、今季5敗目(8勝)を喫した。
渡米1年目の昨季はブルージェイズ相手に3試合を3勝0敗と得意にしていたが、今季は2試合に投げて0勝2敗と分が悪い。しかしリベンジする機会は、早くも次回(今週土曜日)の登板でやってくる予定だ。そのブルージェイズ戦も含めて、ローテーション通りいけば、今季レギュラーシーズンで残り8~9試合に登板する。そのうちブルージェイズとは多ければ3回対戦する可能性がある。
ヤンキースのエースとして首位攻防となり得る重要な一戦でどれだけの投球ができるか。好投しチームを勝利に導けば、地元メディアやファンからは大喝采を浴びるだろう。逆に、打ち込まれ、チームがプレーオフを逃すようなことがあれば戦犯扱いを受けるおそれもある。
現在10連勝中とはいえ、ブルージェイズの勢いが残り1カ月以上このまま持続するとは思えない。両者の直接対決はまだ10試合あり、ヤマ場は何度かやってくるだろう。そのとき田中は結果を出せるのか。年俸28億円の真価が問われる。
ちょうど1年前、田中は戦列を離れ、チームに貢献できなかった。今季はチームの窮地を救うことができるのか。大きな期待と(右肘に)大きな不安を抱えた田中の一球一球にヤンキースの命運が託されているといっても過言ではない。