コラム

14年ぶりのリーグ優勝なるか⁉ 信念を貫く「頑固な真中采配」

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再び首位に立ったヤクルトの真中満監督 [BASEBALLKING]
真中満,

好調ヤクルト打線のキーマン、2番・川端


 セ・リーグ屈指のヤクルト打線がここにきて好調だ。

 前半戦こそ、チーム打率はリーグ4位の.249だったが、後半戦は.284。178得点、33本塁打と合わせてリーグトップの成績である。順位争いが激しくなるこの時期に、昨年の猛打が戻ってきたことは心強い。

 2リーグ制後では史上7人目(11度目)となる三冠王に加え、盗塁王の可能性もある山田哲人とリーグ最多打点の畠山和洋の中軸は強力だが、ヤクルト打線のキーマンとなっているのは、真中満監督が「2番」に据えた川端慎吾だ。

 後半戦の打率が.367の川端は、シーズン通算でも打率.336でリーグ首位打者をひた走る。ノーヒットの試合は最長でも2試合連続が4度あるだけで、後半戦は1度しかない。月別の打率もすべて3割以上と、スランプなくコンスタントに安打を重ねられるのが川端の最大の特長だ。

 2番・川端に関して、興味深い数字がある。まず、つなぎの打順とも言われる2番を打ちながら、川端が記録した犠打は7月26日の中日戦のたった1個だけだ(記録は犠打失策)。川端の前の1番を主に打っている比屋根渉が後半戦に記録した盗塁は5。失敗は1度もないが、チーム一の俊足を誇る比屋根にしては決して多くない。今のペースでいけば、足でその存在感を放ってきた比屋根だが、プロ4年目にしてシーズン盗塁数がもっとも少なくなる可能性もある。

 比屋根が出塁しても2番・川端がバントで簡単に送ることはなく、比屋根が積極的に盗塁を仕掛けるわけでもない。バットコントロールが巧みな川端が2番にいることで、エンドランなど様々な攻撃を仕掛けることを重視する。それ以上に、流し打ちだけでなくインコースを引っ張る術に長けた選手だから、塁上に比屋根がいればノーサインで打たせてチャンスを拡大するという戦術を取っている。また、川端は追い込まれてもファウルで粘ることができるため、送りバントをして無条件でアウトを1個返上するよりも相手投手に球数を多く放らせることができるという利点もある。川端が粘ることで投手が根負けし、一気に大量得点を奪った試合が何度あったことか。


いい意味での頑固さが光る「真中采配」


 実は開幕前から、真中監督のなかでは「2番・川端構想」があった。それを公言して開幕し、実際に1番・山田、2番・川端でスタート。ところが、他の選手の調子がまったく上がらないことや、バレンティン、ミレッジといった助っ人が怪我で機能しないこともあり、1番・川端、2番・大引啓次にし、4月中旬から前半戦終了までは1番・山田、3番・川端の打順が多くなった。正直これは、真中監督の本意ではなく、苦肉の策であったと思う。

 そして、後半戦から改めて開幕前に掲げた構想を実行に移すことで“腹を括った”という見方もできるだろう。後半戦が始まるやいなや、1番・比屋根、2番・川端、3番・山田、4番・畠山、5番・雄平、6番・大引、7番・デニング、8番・中村悠平でほぼ固定するようになる(現在はミレッジの昇格などもあり多少変更している)。選手個々を見渡せば、まだまだ本調子でない選手も多い。それでもやはり、「2番・川端」を貫く。

 川端は高打率を誇る選手ゆえ、クリーンアップを打たせるという手もある。それでも、決めたことは最後までやる。

 真中監督の采配を見ていると、いい意味での“頑固さ”を感じる。試合ごとに打順を大きく変えることは少なく、一度決めたことを簡単には覆さない。当初の「2番・川端」にこだわり続け、オーダー決定だけでなく投手リレーを含めたトータルな采配に反映させる。

 首位を走る阪神、3位の巨人とまだまだ絶対的な強さはない。特に巨人は打線を毎試合のように変えるなど、落ち着きのないなかで戦いを続けている。「貫く」「ブレない」で戦う就任一年目の真中監督の信念は、チームにどういう結果をもたらすだろうか。

 最後の最後まで目の離せない試合が続く。

文=京都純典(みやこ・すみのり)
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