4年でたった5勝……故障に泣いた和田のメジャー生活
11月7日、ソフトバンクが和田毅の獲得を発表した。和田は5年ぶりの日本復帰となる。
和田のアメリカ生活は4年に及んだが、振り返れば故障との戦いだった。2012年、ボルティモア・オリオールズの一員として迎えたスプリングトレーニングで左ひじに違和感を訴え、故障者リスト入りして開幕を迎えた。その後、5月にトミー・ジョン手術を受け、実戦復帰に1年を要した。結局、オリオールズではメジャー登板は果たせず自由契約となり、シカゴ・カブスとマイナー契約を結んだ。
念願のメジャー初登板は、渡米から3年目の2014年7月のこと。一度マイナーに降格したが、再昇格後はシーズンの最後まで先発ローテーションに定着した。今季は開幕からメジャーでという期待があったが、左太ももや左肩三角筋の炎症など、またしても故障に泣いた。結局、メジャーでは通算21試合に登板し、5勝5敗、防御率3.36と力を発揮したとはいえない成績に終わった。
メジャーでも高い奪三振率を誇った和田
力を発揮したとはいえないと書いたが、随所に和田らしさも見せた。メジャーで通算101回2/3を投げ、奪った三振は88個。9イニングあたりの奪三振率は7.79だ。2011年まで日本通算の奪三振率は8.27だから、日米で大きな差があったわけではない。フォーシームの空振り率も、カブスの先発投手ではトップクラスを記録するなど、和田独特な球のキレをメジャーでもみせた。
また、昨年と今年で和田のピッチングに変化があった。昨年、メジャーでの登板でゴロを打たせた割合が全体の35.9%で、フライを打たせた割合が41.3%だった。ゴロとフライの割合は0.87だ。それが今年はゴロを打たせた割合が45.1%で、フライを打たせた割合が33.0%。ゴロとフライの割合は1.37と、昨年と比べゴロを打たせる割合が高くなった。
昨年は69回1/3、今年は32回1/3とメジャーでの登板が少なく、サンプル数としても少ないが、和田はゴロを打たせるピッチャーに変化しつつあると考えても間違いではない。ソフトバンクの本拠地ヤフオクドームは今年からホームランテラスを設置し、ホームランが急増した。長打になる可能性が低くなるゴロを打たせることはピッチャーにとって大事なことだが、狭くなったヤフオクドームでは、より細かなピッチングが求められる。
そういった点ではゴロを打たせるようになった和田の復帰は、ソフトバンクにとっても心強い。5年ぶりに復帰した和田が、どういったピッチングを見せるか、今から楽しみだ。
文=京都純典(みやこ・すみのり)