“新戦力”の活躍が目立ったメディア露出
今年もプロ野球の春季キャンプが終わった。
例年に比べて「平穏無事」であったといえる今キャンプ。目立った話題と言えばロッテの新外国人ヤマイコ・ナバーロの逮捕くらいで、やや話題性に欠けたキャンプだったともいえる。
大変だったのは、スポーツ紙はじめ民放各局の報道陣だったかもしれない。
高い経費を費やして各メディアは連日のようにキャンプを取材するのだが、「今日の1本」の出稿が義務付けられており、各メディアともにネタ探しに頭を悩ませたに違いない。
そんな中、新監督やルーキーが「顔」のチームは、世間を賑わせてくれた。
ロッテの平沢大河や楽天のオコエ瑠偉といった高卒ルーキーに、阪神の金本知憲新監督らは、少し違ったことを行っただけで大々的に報道されていた。
一方で、DeNAのアレックス・ラミレス新監督は今までのイメージを一新。パフォーマンスの封印を宣言した。
これには“それ”を期待していた報道陣もガッカリ。マスコミ的には予想外に苦しい取材対象となってしまったかもしれない。
覚えているだろうか。昨年までのDeNAといえば、毎日のように朝の散歩で歌を歌ったりした中畑清前監督の様子が必ずと言っていいほどマスコミに取り上げられていた。
今年は明らかに露出が減ってしまった形にはなったが、DeNAにとってはかえって良かったのかもしれない。
昨年まで、キャンプ中においてはほぼ中畑前監督の露出しかなかったが、今年は選手が報道されるようになった。チームが望む正しい形の報道に転化したのだ。
筒香嘉智や山崎康晃、そして三浦大輔らが露出するようになり、「中畑色」から脱却。ファンはもちろん球団側も、キャンプ中の元気な選手の姿にさぞかし喜んだことと思う。
新生・巨人軍は苦戦...?
逆に苦しかったのが巨人。なんといっても、キャンプ初っ端から「清原逮捕」で話題を取られた。
高橋由伸新監督を擁し、“新生・巨人”の船出となったのだが、阿部慎之助や坂本勇人といったスター選手を大勢抱えながらも、いまいち話題性に欠いた。
そんな中、報道で目立ったのは2年目の岡本和真や大卒ルーキー・重信慎之介といった若手選手だった。
本来の主力である村田修一や長野久義らは雑感(新聞でいう10行ほどの記事)程度の扱い。日刊スポーツにおいては、キャンプ中の巨人の記事で一面を飾った回数がわずか2回(2月13日付・桜井俊貴、2月29日付・菅野智之)だけという寂しさであった。
2000年前後、長嶋茂雄監督や松井秀喜が在籍していた頃の巨人といえば、キャンプとはいえ連日各スポーツ紙の一面は巨人が飾って当たり前だった。そう思うと寂しい限りである。
もちろん、選手や監督はマスコミのためにやっているわけではない。また、マスコミ側も報道するもの、ことに関しては、それぞれの会社が厳密な「ニュースの価値判断」を行った上で露出している。すなわち、今年のキャンプに関していえば、巨人よりも他球団に「ニュース価値」があったということだ。
たしかに、臨時コーチを務めた松井秀喜氏の指導や、長嶋茂雄名誉監督の訪問など、第三者が加わった時は盛り上がりを見せたものの、チーム自体のニュース性となるとあまり強調できるものはなかった。
これからはじまるシーズンで、どれだけ“露出”を取り戻すことができるのか。巨人の逆襲に注目したい。