絶好調で勝負を避けられるようになった王貞治
ソフトバンクの柳田悠岐が、4月19日ロッテ戦の8回に決勝点となる押し出し四球を選び、王貞治氏が巨人時代の1970年につくった18試合連続四球のプロ野球記録に並んだ。20日のロッテ戦で4打席4打数1安打に終わり、新記録とはならなかったが昨季のトリプルスリーに続き、球史にまたひとつその名を刻んだ。
同じ連続試合四球の記録だが、王氏と柳田の内容には違いがある。王氏が連続試合四球の記録をつくったのは1970年6月17日から7月15日。その間の成績は51打数20安打11本塁打17打点27四球、打率は.392。王氏は、敬遠6個を含め、ストレートの四球(初球から4球連続ボール)が15個もあった。
連続試合四球がはじまった1970年6月17日までの44試合で18本塁打を打っていて、17日から27日の7試合で4試合連続を含む計8本塁打。1970年のシーズンで王氏は47本塁打を放ち9年連続本塁打王となったが、6月17日からの10日間ほどは、とくに調子がよかったと考えられる。そのため、6月17日からの7試合は9四死球だったが、同28日から7月25日までの11試合では20四死球を記録し、本塁打は3本だった。
王氏の連続試合四球の期間をふたつに分けると以下のようになる。
6月17日~6月27日 7試合20打数11安打8本塁打9四死球
6月27日~7月15日 11試合31打数9安打3本塁打20四死球
新記録がかかった打席でも初球を打っていった柳田
柳田の4月19日までの成績は60打数16安打2本塁打6打点25四球、打率は.267。柳田は敬遠が1個でストレートの四球は3個。ストレートの四球は王氏と比べ少ないが、フルカウントから15四球、三振は3個だ。
期間中、満遍なく四球を選んでいるが、安打の数は徐々に増えている。開幕から4月7日までの11試合は36打数7安打17四死球、打率.194だったが、9日からの7試合は24打数9安打9四死球、打率.375。同じ連続試合四球の記録でも、絶好調で徐々に四球が増えた王氏、昨季の成績を受けて開幕当初は勝負を避けられることが多かった柳田いう図式が浮かぶ。
四球が増えるなかでもイライラすることなく、安打を徐々に増やしていった柳田。20日のロッテ戦、3対1とリードした9回表に連続試合四球の日本新記録がかかった4打席目を迎えたが、初球を叩きセンター前に運んだ。記録に惑わされることなく初球をしっかり叩けたことで、今後打撃の調子が上がることも予想される。
ここまで柳田は21試合で26四球。このペースでいけばシーズンで177四球を選ぶことになる。シーズン四球の日本記録は1974年の王氏が樹立した158四球だが、柳田はどこまで迫ることができるだろうか。
文=京都純典(みやこ・すみのり)