コラム 2016.05.24. 11:00

“勝負のシーズン”を戦う 遅咲きのバイプレーヤー・堂上直倫

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中日の堂上直倫

課題の打撃が進化! 1試合6打点の大活躍


 開幕前、解説者たちの順位予想ではBクラス予想が多かった中日だが、5月上旬には一時期首位に立つなど奮闘を見せている。開幕から4番に座り続け、月間MVPを獲得したビシエドや、20試合連続安打を記録したナニータの活躍。谷繁監督が選手兼任から監督専任になり采配に集中できるようになったことなど好調の要素はいくつかあるが、ショートに堂上直倫が定着していることも大きい。

 昨季、中日のショートのレギュラーはエルナンデスだったが、今季は開幕からは遠藤一星が起用された。だが、その遠藤が不振で二軍落ち。4月上旬から堂上が固定され、5月中旬には規定打席に到達。セカンドやサードにまわされていたエルナンデスは、成績の低迷と外国人枠のために登録抹消されている。 

 今季の堂上には、課題であった打撃の改善が見られる。5月8日の対巨人戦では、ソロホームランを含む猛打賞6打点の大活躍。昨年秋から取り組んでいるという下半身を連動させる練習と筋肉量の増加が実を結んでいるようだ。通算の長打率も昨季までは.288だが、今季に限っては.419と向上している。


かつての名手も「抜きん出ている」と守備力を評価


 今季のセ・リーグには、打てるショートが多い。打率10傑に坂本勇人(巨人)、倉本寿彦(DeNA)が入り、田中広輔(広島)が打率.291、大引啓次(ヤクルト)も規定打席には足りないが3割超え、鳥谷敬(阪神)も徐々に打撃の調子を上げてきた。

 このメンツのなかでも抜群の守備力を誇るのが堂上である。かつては名手として鳴らした高木守道氏も、監督時代には堂上の守備力を高く評価していたほどだ。名手が認める堅実なグラブさばきに強肩があれば、打撃で少々劣っていても首脳陣は使いたくなる。それに、打撃の調子はシーズン通して波があるのに対し、“守備にスランプはない”という言葉もある。

 だが、その守備にほころびが出た。5月13日の対広島戦、延長10回二死三塁。なんでもないショートゴロをエラーし、決勝点につなげてしまった。だが、谷繁監督は堂上のミスを責めることはなかった。首脳陣からも、「あいつがミスするなら仕方ない」という信頼感を得ている証拠だろう。

 かつて3球団が競合したドラフト1位も、守備固めをメインの働き場としていつの間にかプロ10年目を迎えた。これからの季節、気温はどんどん上昇し1年間戦い続けたことのない堂上には試練の夏が訪れる。そこで、好調の打撃をある程度維持できれば、念願の定位置奪取が近づく。今年28歳の堂上直倫が、プロの世界で輝きを見せるのはこれからである。

文=松本祐貴(まつもと・ゆうき)

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