MLB1年目で10勝は日本人で7人目
ロサンゼルス・ドジャースの前田健太投手が、8月4日のコロラド・ロッキーズ戦で先発し、6回途中まで4安打2失点に抑え10勝目を挙げた。両リーグ通じて、MLB新人の10勝“一番乗り”という快挙である。
日本人投手で、MLB1年目に10勝を挙げた投手たちの成績は以下となる。MLB1年目で10勝を挙げたのは前田で7人目である。
野茂英雄(ドジャース)
石井一久(ドジャース)
02年:28試 14勝10敗 防4.27
松坂大輔(レッドソックス)
07年:32試 15勝12敗 防4.40
高橋尚成(メッツ)
10年:53試 10勝6敗8S 防3.61
ダルビッシュ有(レンジャーズ)
12年:29試 16勝9敗 防3.90
田中将大(ヤンキース)
14年:20試 13勝5敗 防2.77
前田健太(ドジャース)
16年:23試 11勝7敗 防3.31
※()は当時所属球団
※成績は現地時間2016年8月13日時点
前田はホームで4勝5敗、ビジターで7勝2敗、防御率もホームが3.33、ビジターが3.28とビジターのほうがいい数字となっている。
ただ、被打率はホームで.239、ビジターで.205。1イニングあたりに許した走者の数を表すWHIPもホームで1.18、ビジターで0.98とビジターのほうがいい数字だ。ホームでは出塁を許しながらも粘り強いピッチングをしているが、出塁されること自体が多いため、味方の攻撃のリズムがつかみにくいのかもしれない。そのあたりが勝利数の差につながっているのだろう。
しっかりと先発ローテを守っている前田健太
数字をより深堀りしていくと、ゴロアウトとフライアウトの比率(※GO/AO)もホームとビジターで大きな差がある。ホームでは0.75とフライアウトのほうが多いが、ビジターでは1.50とゴロアウトのほうが多くなっている。一般的にフライのほうがヒットになりやすいため、ホームでもゴロを打たせるように心がけたいところだ。
ホームとビジターではいくつかの数字で差が見られるが、対右打者の被打率は.228、左打者には.218と左右で得意不得意があるわけではない。23試合に先発し5イニング未満で降板した試合はたったの3試合しかなく、総合的に見れば十分と言っていいほど先発の役割を果たしている。
現状、ドジャースの先発陣はエースのクレイトン・カーショウをはじめ、アレックス・ウッド、ブレット・アンダーソン、柳賢振と本来はローテーション入りが期待されている投手の多くが故障者リストに入っている。開幕からローテーションを守っているのは、前田とスコット・カズミアーのふたりだけである。
そのような状況でも、ドジャースは4年連続地区優勝は十分射程圏内だ。地区優勝に向け、チーム最多イニングを投げている前田にかかる期待は今後さらに大きくなるだろう。
(※)ゴロアウト/フライアウト比率(GO/AO )
ゴロアウト(GO)の総数をフライアウト(AO)の総数で割り、ゴロアウトとフライアウトの比率を調べる指標。ゴロアウトとフライアウトが同じ 数の場合は1となり、これより数値が大きくなるほどゴロアウトの割合が高く、数値が小さくなって0に近付くほどフライアウトの割合が高い投手となる。
文=京都純典(みやこ・すみのり)