次の“優勝から最も遠い球団”
広島カープの25年ぶり優勝が話題をさらったこの9月――。この広島の優勝によって、新たに「優勝から最も遠ざかっている球団」になったのがオリックスである。
最後の優勝はと言うと、まだイチローが在籍していた1996年のこと。今シーズンも含めると20年間優勝から遠ざかり、そのうち15度Bクラスと長い低迷期に入っている。
力はあるはずなのだが...
それでも、選手を見てみると一人ひとりの実績やポテンシャルは決して低いわけでなく、とても最下位に終わるようなチームとは思えない。ただどこか噛み合わせが良くない、ということの積み重ねなのだ。
FA流出が懸念される糸井嘉男は、今年で35歳ながらも走攻守にわたって自己最高のシーズンを送っている。さらにドラフト1位ルーキーの吉田正尚は後半戦に入って本塁打を量産。ここまで19本塁打を放っているT-岡田との左打ち日本人スラッガーコンビ誕生へ、期待の声は日に日に大きくなっている。
投手陣はというと、2014年の沢村賞投手・金子千尋を筆頭に、来日4年目で初の2ケタ勝利を狙うディクソン、そして25歳ながら自身4度目の2ケタ勝利にあと1勝に迫っている西勇輝が先発3本柱を形成。抑えの切り札にはケガから復活した平野佳寿が控える。
総じて外した助っ人補強
その一方で、期待を大きく裏切ったのがディクソンを除く外国人選手たちだ。主な外国人選手の成績は次の通り。
<投手>
ディクソン 25試 9勝10敗 防御率4.35
コーディエ 13試 0勝2敗2S 防御率7.30
ミッシュ 3試 0勝1敗 防御率8.44
<打者>
モレル 94試 打率.244 8本 38打点
ボグセビック 60試 打率.187 3本 18打点
ブランコ 27試 打率.218 3本 13打点
クラーク 11試 打率.172 2本 4打点
この打者4人のうち1人でも“当たり”を引いていたら、クライマックスシリーズ争いに絡んでいたかもしれない。
期待外れに終わったディクソン以外の6人は戦力外が濃厚となっており、来季チームの浮沈のカギは新外国人が握っていると言ってもいいだろう。
来季以降を見据えて...
さらにここ数年は大枚をはたいて獲得したFA戦士たちも相次ぐケガなどにより期待を裏切っており、長い目で見たドラフト・育成による“チーム力強化”は必須事項だろう。
その点では、福良淳一監督も将来を見据えた若手の積極的な起用を進めている。18日のソフトバンク戦では、20歳の園部聡がスタメン起用に応えるプロ初本塁打を記録。他にも、捕手の若月健矢が20歳という若さで正捕手の座を掴もうかという勢いで活躍を見せている。
来季、再び優勝争いを演じられるチームへ...。上位争いに絡んでいくには、幾つかの条件が重なる必要があるだろう。
まずは去就不明な糸井の残留と、そして新外国人の活躍。そして若手選手のさらなる台頭。もしそれらがうまくかみ合えば、2014年の再現も十分可能だ。
CS進出が絶たれても、シーズン残り試合を無駄にしてはならない。オリックスの来季を見据えた戦いと、オフの動向に要注目だ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)