どちらも久々の頂点へ...
リグリー・フィールドに歓喜の花が咲いた。
シカゴ・カブスは現地時間22日(日本時間23日)、リーグ優勝決定シリーズでロサンゼルス・ドジャースを下し、71年ぶりのワールドシリーズ進出を決めた。
これで108年ぶりの世界一まではあと4勝...。レギュラーシーズンで唯一の100勝超え(103勝58敗)を果たした実力派チームが、いよいよ大舞台に帰ってくる。
そのカブスに対するのが、こちらも久々の世界一を見据えるクリーブランド・インディアンス。カブスを下せば、こちらも実に68年ぶりのワールドチャンピオン。この数字の大きさが、まさにメジャーの歴史を物語っているといえよう。
最強カブスか、勢いのインディアンスか
インディアンスは94勝67敗でア・リーグ中地区を制覇したが、カブスの103勝に比べるとやや見劣る。ロースターを見ても、投打ともに戦力的にはやや劣っている印象だ。
しかし、シーズン最終盤の9月30日以降の戦いぶりを見てみると、インディアンスは10勝1敗という好成績を残している。ポストシーズンに入ってからは、リーグ優勝決定シリーズ第4戦の1度しか敗れていない。対するカブスは同じ期間で9勝4敗という成績だ。
カブスはドジャースとのシリーズが第6戦までもつれたため、中2日でワールドシリーズ初戦を迎える。一方のインディアンスは中5日。休養十分でカブスをクリーブランドに迎える。
インディアンスのキーマン
続いて、シリーズで注目のキープレーヤーを紹介しよう。
まずはインディアンスから。投手でカギを握るのは、ブルージェイズとのリーグ優勝決定シリーズで大車輪の活躍を見せたアンドリュー・ミラーだろう。
このポストシーズンは通算6試合に登板。11回と2/3を投げて失点0。奪三振は21にのぼる。
過去のポストシーズンも合わせると通算20イニングを無失点で切り抜けており、フランコ―ナ監督もミラーには絶対の信頼を寄せている。勝機があると見れば、試合中盤からでも投入されるだろう。
ここまで完全無欠の投球を続けるミラーを、カブス打線がどのように攻略していくのか。これがシリーズの重要なポイントになる。
また、打者では盗塁王に輝いたラージェイ・デービスを挙げたい。
このポストシーズンでは12打数無安打と打撃は振るわないが、対戦相手であるカブスの数少ない弱点と言えるのが「盗塁阻止能力」だ。
今季カブスが許した盗塁数は、メジャーワースト2位にあたる133個。ポストシーズンでもすでに10試合で9つの盗塁を許している。
強固なカブス投手陣を崩すには、“足”での揺さぶりが不可欠。そうなってくると、デービスの走力というのは大きなアドバンテージになる。
カブスのキーマン
続いて、カブスからはジェーク・アリエッタとアンソニー・リゾの2人を挙げたい。
カブス先発陣のポストシーズン通算成績を見ると、ベテランの2人がさすがの実績。右腕のジョン・ラッキーは25試合で8勝5敗、防御率3.26と3つの勝ち越しを作っており、左腕のジョン・レスターは19試合で8勝6敗、防御率2.50と抜群の安定感を誇る。
特にレスターはワールドシリーズに滅法強く、3試合に投げて3勝0敗、防御率はなんと0.43。あとは若き力がいかに脇を固められるか、というところにかかってくる。
そこで期待したいのが、昨季のサイヤング賞投手・アリエッタである。今季もレギュラーシーズンで18勝を挙げるなど活躍を見せたが、シーズン後半にやや失速。このポストシーズンも2試合で防御率4.91と結果が出ていない。
なお、このポストシーズンでカブスが敗れた3試合のうち、実に2試合はアリエッタが先発した試合だった。逆に言うと、アリエッタがチームを勝利に導けば世界一がグッと近づくだろう。
また、カブス打線の中軸を担うリゾは、サンフランシスコ・ジャイアンツとの地区シリーズから大不振。ドジャースとの第2戦までは23打数1安打と絶不調に陥ってしまう。
しかし、そこからシリーズ終了までには17打数8安打と復調。ワールドシリーズ進出を決めた試合でも、ドジャースの大黒柱であるクレイトン・カーショーを沈める一発を放った。
試合終盤の重要な局面で、インディアンスのキープレーヤーに挙げたミラーとの対戦も何度か実現するだろう。その対戦はシリーズの大きなカギとなる。
方や68年ぶり、もう一方も108年ぶり...。どちらが勝っても久々の世界一に輝くことになる今年のワールドシリーズ。
ともに極寒の地が本拠地。試合時の気温は10度前後となるだろう。しかし、そんな寒さを吹き飛ばす熱い戦いに期待したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)