ドラフトでは投手を積極的に補強
梨田政権1年目はリーグ5位に終わり、3年連続最下位は免れた楽天。それでも日本ハムやソフトバンクといった上位チームとの差は簡単には縮まる気配はない。
先月のドラフト会議では球団史上最多となる14人を指名(育成の4人を含む)。特徴的だったのは投手の多さだ。全14人中10人、さらに上位7位までのうち6人が投手だった。投手以外では捕手と外野手が1人ずつ、内野手が2人だった。ドラフトでは、今季の課題だった投手力補強に重きを置いた形だ。
さらにFA戦線では、地元出身の西武・岸孝之だけでなく日本ハム・陽岱鋼も調査中だという。FAに関しては、他チームとの兼ね合いもあるため、現時点で現有戦力の底上げは必至の状況。投手では安楽智大、野手ではオコエ瑠偉が球団の将来を担う存在として期待されている。すでに守護神として2年間で63セーブを積み上げた松井裕樹も含め、高校時代に甲子園を沸かせたドラフト1位トリオが順調に育てば、楽天に黄金期が来る日も近いかもしれない。
素質の一端を垣間見せたオコエ
そんな中、オコエ瑠偉がプロ1年目を終えた。一軍では51試合に出場。打率.185に終わったが、安打22本のうち半数近い9本が長打だった。打者としてはプロのスピードに押されつつも、盗塁は4つ決め、素質の一端は垣間見せたと言っていい。また、二軍では54試合に出場し、打率.222ながら5本塁打、14盗塁を記録。来季は一軍定着だけでなくレギュラー奪取も見据えている。
1年前にプロ志望届を提出した際、「トリプルスリーを狙いたい」と宣言していたオコエ。185センチ、90キロという恵まれた体格から、正しいトレーニング方法で必要な筋力をつければ、30本塁打はいずれ達成してもおかしくない。あとは粗削りな打撃を改善すれば打率3割超えも視野に入ってくるだろう。足の速さに関してはすでに一軍でも通用するレベル。出場機会さえ与えられれば、来季の30盗塁も十分可能だと見る。
トリプルスリー達成へのベンチマークとしてヤクルト・山田哲人の高卒1年目(2011年)を見ておこう。その年、山田はレギュラーシーズンでの一軍出場はなく、二軍で114試合に出場、打率.259、5本塁打、17盗塁をマークした。一概に比較できないが、高卒1年目の時点では二軍54試合で5本塁打、14盗塁を記録したオコエがパワーとスピードの面で山田を上回っていたと言っていいだろう。
オコエは1年目から多くの時間を一軍で過ごせたことを今後どう生かすのか。スター性のある選手だけにファンからの注目度も高い。このオフの過ごし方次第で2年目の来季、大ブレークする可能性は十分ある。
文=八木遊(やぎ・ゆう)