年俸ダウンは必至も...
オフに入り、次々と契約更改のニュースが流れるなか、阪神の未更改選手は藤浪晋太郎を残すのみとなった。プロ4年目のシーズンを終えた右腕は、自身初のダウン提示を受けることが予想される。
今季の藤浪は開幕から3連勝と好スタートを切りながら、終わってみれば7勝11敗。自身初の負け越しとなり、ルーキーイヤーから3シーズンにわたって続いていた2ケタ勝利も途切れてしまった。防御率も昨季の2.40から3.25に大きく悪化している。
とにかく好不調の波が激しく、6月2日の楽天戦で完封勝利を挙げたかと思えば、その後は8月5日のヤクルト戦まで丸々2カ月も未勝利。手のつけられない投球も見せた一方で、序盤からあっさりと失点を重ねるゲームも目立った。
この数字を振り返れば、ダウン提示も当然と言える。とはいえ、個人成績には表れない部分で評価されてしかるべき点もある。先発投手として、「ローテーションに穴を開けない」ということだ。
苦しい投球も目立った今年も、藤浪は当たり前のようにシーズンを通して先発ローテーションを守り抜いた。
ダルビッシュとの自主トレでさらなる進化を
1年目からチームを支えてきた藤浪。天候に左右されるスライド登板の影響を除けば、過去に先発ローテーションを外れたのはルーキー時代の2013年5月のみ。背中の張りを訴え、5月11日に出場選手登録を抹消された時くらいだ。
しかも、その時も約2週間後の5月26日には復帰登板を果たし、その後は一度として先発ローテーションから外れたことがない。
高校時代からなにかと比較される大谷翔平(日本ハム)の飛躍的な成長や、藤浪自身のポテンシャルの高さによる期待から、藤浪の成績を「ふがいない」と嘆く声もささやかれる。だが、先発投手としての貢献度の高さは球界でも屈指のものを誇っている。
まずなにより、ローテーションを任される力があることが大前提。加えてケガをしないための体のケア、仮にどこかを故障したとしてもそれに耐えうる体と精神力、そして強い責任感が必要だ。
藤浪はこれら全てを持ち合わせているということにほかならない。シーズンを通してローテーションの柱のひとりを計算できることが、首脳陣にとってどれだけありがたいことか。
今オフはダルビッシュ有(レンジャーズ)と自主トレをともにしている。投手としての大先輩であると同時に、肉体トレーニングにおける第一人者のダルビッシュとの交流を通し、心身ともに新たな強さを手に入れるはずだ。雪辱に燃える藤浪の巻き返しに期待したい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)