いずれ、巨人の看板選手に
巨人の二軍に、辻東倫(つじ・はるとも)という内野手がいる。21歳のプロ入り4年目。2012年にドラフト3位で入団。昨季、一軍で2試合に出場したが、結果は3打数0安打で、今季は二軍スタートだった。
しかし、今季は二軍で打率.315(4/21時点)と好調をキープ。早く一軍に上がって、まずはプロ入り初安打を打ちたいところだ。
かつて巨人の遊撃手でレギュラーを張った二岡智宏、現在のレギュラー・坂本勇人に続く大型遊撃手としての期待も大きい。「いずれ、巨人の看板選手に」と首脳陣も口を合わせる。それほどの素質を持ったプレーヤーだが、中学時代は、ハンドボールをやるか、野球をやるかで迷って、最終的に野球を選択したとのこと。
三重県立菰野高校時代は、体力強化に挑み、3年間で18キロも体重を増やし、パンチ力を付けた。甲子園の出場こそないが、高校通算35本塁打。181センチ、82キロと恵まれた体格。右投左打。今後の躍進が楽しみだ。
巨人に欠く長距離砲
巨人に欠けているのは、生え抜きの長距離砲。かつては王貞治、原辰徳、松井秀喜など、球界を代表するホームランバッターがいた。野球の華が本塁打だとすれば、巨人にとっては寂しいところ。
現在は、阿部慎之助が長距離砲と言えるのだが、かつてのような活躍を求めるのは酷だろう。候補はいる。大田泰示は、長距離砲として期待されながら8年目。通算本塁打は昨季終了時点で、わずか5本と期待に応えられていない。そして、岡本和真は、プロ2年目。こちらも昨季、1本塁打のみで、今季は二軍スタートだ。もう少し、時間がかかる。
そこで、辻に期待したい。体格的にも、本塁打を打てる素質は十分にある。何より、他の選手を寄せ付けない練習量が、辻を支えている。1日の素振りノルマは1000回。長距離砲に向け、二軍打撃コーチからわかりやすいテーマを与えられた。
1.左太ももの内側に力を入れて打つ
2.へその前でボールを打つ
3.ボールに縦回転をかけて打つ
この3つだ。その結果、右足を大きく上げて打つ一本足打法と左足に体重を乗せ打球にバックスピンをかける打ち方を覚えつつある。これが完成すれば、本塁打は確実に量産できる。王貞治は、プロ入り3年目までは鳴かず飛ばず、だったが、4年目に一本足打法を完成させると、そこから本塁打を打ちまくった。
13年連続本塁打王に輝き、通算本塁打868本の金字塔を打ち立てた。辻には、“世界の王”ぐらいの覚醒の予感が漂うし、それくらいの変貌をとげてほしい。
残念ながら、坂本も長野も、4番打者のタイプではない。阿部も、村田もかつての長距離砲の姿がなくなってきた。待望の生え抜きの長距離砲誕生。辻には、ぜひそうなってほしい。