コラム 2015.04.10. 14:57

開幕3試合から見えた今季のイチロー

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メジャー15年目の内野安打で今季初安打を記録したイチロー[Getty Images]
Atlanta Braves v Miami Marlins

今季初安打は技ありセーフティー


 2015年、イチローにとって移籍後の初安打はなんとセーフティーバントでの出塁であった。開幕から3試合すべて代打として出場し、3打数1安打(打率.333)。1日のオフを挟んで明日からはレイズとの3連戦を迎える。

 イチローの打席を初戦から振り返ると、6日の開幕戦は1点ビハインドの8回裏、先頭打者として迎えた。2ボールからの3球目、内角低めの見逃せばボールとコールされてもおかしくない厳しいコースを引っ張り、一塁ゴロ。出塁していれば、流れが変わってもおかしくなかった場面で、打ち気なイチローがバッテリーの術中にはまったと言えるだろう。

 2戦目は6点ビハインドの7回裏、二死走者なしという場面だった。この点差なら通常は主力選手を出場させないが、地元マイアミファンへの“顔見せ”としてだったのか、代打で起用された。結果は1ストライクからの2球目をたたき、遊ゴロに終わった。

 そして昨日の3戦目、2点ビハインドの7回裏に先頭打者として1ボールからの2球目をうまく三塁方向に転がし、記念すべき初安打となった。今季初「H」のランプが点灯したことで、本人もホッとしたことだろう。しかしセーフティーバントを選択したイチローからは「焦り」と「必死さ」が垣間見えた。

 想定通りとはいえ3試合続けてスタメンを外れ、それまでノーヒットという状況を考えれば、何としても結果を残したかったのだろう。特に開幕戦の“出塁”が必要な場面で凡打に終わったことが、イチローの頭の片隅に残っていたのかもしれない。そして3打席いずれも3球目までに手を出すなど、1試合1打席限定という“気持ちの余裕のなさ”(=焦り)も当然あっただろう。

 しかし同時に「セーフティーバントでもいい。何とか出塁したい」という必死な姿を首脳陣・チームメートに見せられたことは、チームにとっても本人にとっても大きかった。3打数ノーヒットで開幕カードを終えていれば、イチローといえども明日からのレイズ戦を重苦しい気持ちで迎えることになったはずだ。

 チームは開幕3連敗を喫し、マーリンズ打線も湿りがちななか、控え選手として試合終盤の一振りにかけるイチロー。明日からは20日間に19試合というタフな日程が待っている。早ければ今週末の試合でスタメン起用もあるだろう。「開幕3試合を終えて1安打のイチロー」。このフレーズは今年と去年までとでは大きく意味が違うことは本人が一番分かっている。与えられた役割を黙々と当たり前にこなす。そしてしっかりと結果を残す。そういう姿を見せ続けることができれば、チームも、そしてイチロー本人にとってもいいシーズンがまっていることだろう。

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