コラム 2021.05.01. 11:09

貴重な右の遊撃手!東洋大・木村翔大の“総合力”にスカウト陣も熱視線

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東洋大・木村翔大選手 [写真提供=プロアマ野球研究所]

戦国東都を代表するショートストップ


 3月の「春のセンバツ」に続き、4月は大学野球の春季リーグが各地で開幕。

 秋のドラフト会議に向けて、アマチュア球界も各カテゴリーで盛り上がりを見せている。




 昨年の時点でスカウト陣から高い評価を受けていた選手たちはもちろんのこと、ひと冬を越えて大きな成長を見せた選手が突然現れるのも、春ならではの楽しみのひとつ。

 プロアマ野球研究所では、今年も秋のドラフト会議に向けて、楽しみな「ドラフト候補」を紹介していきたい。

 今回は、大学球界でも屈指の総合力を備えたショートストップを取り上げる。



▼ 木村翔大(東洋大)
・遊撃手 
・178センチ/76キロ 
・右投右打 
・霞ケ浦

<リーグ戦成績>(4月30日終了時点)
7試合 打率.345(29-10) 本塁打0 打点1
34打席 二塁打0 三塁打0 四死球5 盗塁0
出塁率.441 長打率.345 OPS.786

<各塁へのベスト到達タイム>
一塁到達:4.33秒


プロ入りした選手よりも強いインパクト


 大学生のショートでは、以前取り上げた関西大の野口智哉(鳴門渦潮)が高い評価を得ているが、首都圏の大学で高い注目度を浴びている選手が、東洋大の木村翔大(霞ケ浦)である。


 木村のプレーを初めて見たのは、2015年7月18日に行われた高校野球・夏の茨城大会だ。

 当時のお目当ては2年先輩にあたるエースの綾部翔(元DeNA)で、木村は背番号15をつけた控えセカンドで5回から途中出場。唯一の打席はショートフライに倒れたが、1年生ながら攻守に形の良さが感じられたのを覚えている。


 そんな木村を“ドラフト候補”としてはっきりと認識するようになったのは、2年後の3年春に出場した関東大会だった。

 初戦の白鴎大足利戦に「4番・遊撃」で出場すると、スカウトのお目当てだった相手投手の北浦竜次(現・日本ハム)から第1打席で先制の2点タイムリーツーベース、第2打席にはライトへのソロホームランを放つなど、3安打・5打点の大活躍。チームの8回コールド勝ちに大きく貢献した。

 チームメイトにはプロ注目投手の遠藤淳志(現・広島)がいたが、遠藤よりも強烈なインパクトを残したことを覚えている。


戦国東都でベストナインを獲得


 東洋大に進学後は、2学年上に津田翔希(現・Honda)、1学年上に高校の先輩でもある小川翔平(現・鷺宮製作所)という守備力の高い内野手がいたため、下級生の頃は出場機会も限られていたが、昨年秋は不動のショートに定着した。

 初めて規定打席をクリアして打率3割以上の成績を残し、小川龍成(国学院大→ロッテ3位)や矢野雅哉(亜細亜大→広島6位)ら、プロ入りした選手を抑えてベストナインも獲得している。


 小川の長所といえば、高校時代のところでも触れたプレーの形の良さだ。

 ショートの守備では重心がそれほど上下動せずに素早く動くことができ、捕球する時の体勢も投げる形も安定感がある。小川や矢野のように派手なプレーは少ないものの、見ていて安心感のあるショートと言えるだろう。


 チームの開幕戦となった3月30日の青山学院大戦では、4回に無死二塁の場面でショートゴロを素早い判断でサードに送球。セカンドランナーを封殺するシーンもあったが、判断の難しいプレーも正確にこなすところに守備力の高さを感じた。


 一方のバッティングは、昨年秋には打率3割を残しているものの、ドラフト候補としてはやや物足りない部分も感じられる。一言で言うと、ヘッドスピード、打球の速さが目立たないのだ。

 インパクトの時の音もどこか軽さを感じ、速いボールには力負けするケースも目に付く。この春もミート力の高さは見せているものの、プロの投手に対応するためには、もう少しパワーをつけたいところ。

 脚力と走塁に関してもまずまずだが、小川や矢野のようなスピードがあるわけではないだけに、やはり打撃でさらにアピールする必要がありそうだ。


 ただし、プレーの形が良く、学年が進むにつれて成績が向上しているというのは、何よりも大きなプラス要素である。

 プロでも右打ちのショートは希少価値が高いだけに、リストアップしている球団も多いはず。この調子を維持して結果を残し続けることができれば、念願のプロ入りの可能性も大きくなるだろう。


☆記事提供:プロアマ野球研究所
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