ニュース 2019.05.29. 12:00

【球数制限を考える】「待球作戦」は子どものためにもならない


「待球作戦」は子どものためにもならない


わざとファウルを打って相手投手の球数を増やそうとする「待球作戦」も、野球本来の姿から見てどうか、という観点で考える必要があるでしょう。
「待球作戦」は、自分より実力が下の投手に対してはできると思います。
でも、140㎞/hを超えるような投手の球をカットするのは簡単ではないでしょう。
できるとしても、そんなことばかり練習していたら打撃技術は落ちるでしょう。
審判の目から見れば、わざとファウルを打っているのか、ファウルになっているのかは、わかります。

ヒット狙いのときは、スイングをしています。でもわざとファウルを打つときは、ぎりぎりでバットを出してちょこんと当てています。
そういうのを見かけたら、試合が終わってから選手に「ああいうことをやっちゃだめだよ」と注意をします。

この春の選抜の出場校の監督に、新聞社がアンケートをしていましたが、大半の人が「球数制限が導入されたら、待球作戦をする」と言いました。信じられない、自分たちの野球おかしくなるのに、と思います。
やったらやり返すになるでしょうから、子どもの将来を考えたら決してプラスにならない。誰のプラスにもなりませんし、ファンもそんな野球は見たくないはずです。

野球離れを助長する今の日本野球


若いころからめいっぱい野球をすると、おなか一杯になってしまって、その先伸びないということも考えるべきでしょう。
私は神奈川県海老名市の職員です。海老名市は今では珍しく人口が増えています。子どもたちの数も減っていない。でも10年前に600人いた少年野球選手は、いま280人です。そして、親コーチが300人もいます。
神奈川県では、横浜DeNAベイスターズが野球の楽しさを体験させる普及活動を続けていますが、それで野球に興味を持った子が学童野球に入って、その厳しい指導に「こんなはずじゃない」と思ってやめてしまうのです。小学校時代に野球を嫌いにさせてしまうとずっとそのままです。
日本の野球はあるときから「勝つためにはなんだってする」「楽しむより厳しく仕込む」方向に行ってしまって、それが未だに正しいと思われているんですね。
「球数制限」の議論をきっかけに、本来の「野球のあり方」を考えるべきだと思いますね。(取材:広尾晃)

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