ニュース 2024.06.22. 11:13

野球未経験の子達を付属高校野球部へ送り出す、重大な役割担う東農大一中軟式野球部

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随分前から中学軟式野球の部員数が激減していると言われています。少子化や選択肢の多様化など様々な理由が考えられますが、それでも中学から野球を始める、野球未経験の子が多い中学軟式野球部があります。東京都世田谷区にある東京農業大学第一高等学校中等部の軟式野球部です。この時代に野球未経験の子達に選ばれる野球部は、どんな雰囲気でどんな練習をしているのでしょうか?




【2時間続いた、バットを使わないバッティングドリル】




取材に訪れたのは土曜日の午後。午前中が保護者参観だったこともあり、そのまま子ども達の練習を見守る保護者達の姿も多く見られました。
この日は月に一度、外部からトレーナーを招いて練習が行われる日。「顧問だけでは教えられることが限られるため、外部から積極的にコーチやトレーナーを招いています」。そう話してくれたのは監督を務める寶田浩太郎先生。保護者にも日頃から積極的に練習見学を促すなど、常に開放的な野球部を目指しているといいます。

この日の練習テーマは『上半身が突っ込まないようにするための体の使い方』。走る、打つ、投げるに通じる正しい体の使い方を体で覚えるための、いくつかのドリルが行われました。
まずはトレーナーから腰の位置や体の使い方などの指導を受けながら、ゴムチューブを使ったメニューや、姿勢を意識したダッシュなどが繰り返されました。



次に行われたのは正しいスイングを身につけるための練習。バットは使わずに以下のようなドリルが行われました。

① 胸の前で両手をクロスさせて両肩を持ち、軸足は踵を上げ、頭の位置はずらさないように骨盤をまわす
② 上記 +左肩にのせた顎を右肩に素早くのせ変えるように肩を素早くまわす(右のお尻が左肩を押し出すイメージで行う)
③ 上記 + ピッチャー側の手だけで左肩を持ち、体を回した際に左手を前方に広げるイメージで離す
④ 上記 + 体を回したあとに右手をピッチャー側に広げる

上記の動きを一つ一つ、丁寧に繰り返し行い、最後はこれらの動きを一気に行います。
この練習が2時間ほど続いて、ようやくバットが登場。ただしボールは打ちません。上記ドリルの最後として、バットを振った後にバットの先端をピッチャー側に向けて両手で伸ばした状態で静止し、パートナーにバットの先端を押してもらい、それでも体勢をキープして動かないようにするというメニューが行われました。このドリルの狙いは「前」を大きく使ったスイングの感覚を養うこと。



ここまで約2時間半。ほとんどの子が中学から野球を始めていることを考えると「こんなにたくさんのことを一度に指導されて、選手達は理解できているのだろうか?」そんな疑問が湧きました。
「今日聞いた話のなかで「1」でもその子に残っていれば良いと思っています。1人に「1」しか残っていなくても、例えば10人が集まってそれぞれが「1」を持ち寄れば「10」のことを振り返れますから。今日で終わりではなく、これを今後も繰り返していって『このまえコーチは何て言っていた?』と少しずつ思い出しながら身につけば良いと思っています」(寶田先生)

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