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坊主を止めたら部員が増えた!? 川口市が取り組んだ独自プロジェクト

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■市全体の記録会で意欲アップ




さらに、2017年から野球部に所属する全部員を対象にした記録会を実施。50メートル走や遠投などを測定し、自分自身が市内の何番目にいるのかを数字でわかるようにした。学校ではトップの数字を残していても、川口市全体となれば、「上には上がいる」とライバル意識が芽生えてくる。

また、市のトップチームとして川口クラブ(市選抜)があり、2010年に全日本少年準優勝を果たすなど実績を重ねている。昨夏も全日本少年に出場し、今年も県大会、関東地区代表決定戦を制して、2年連続の全日本少年出場を決めている。セレクションを通過しなければ、選抜に入ることはできず、より高いレベルを目指す選手のための受け皿となる。

加えて、昨年からは地区ごと(3〜4つの中学校が集まる)にクラブチームを作り、もっと練習したい選手たちが自主的に活動できる場をもうけた。こちらは、自由に参加することができる。

そして、野球の楽しさを多くの人に知ってもらうために2019年1月に「埼玉ベースボールフェスタin川口」を実施。埼玉西武ライオンズの協力も得て、野球未体験の子どもたちを対象に、スピードガンコンテストやホームラン競争など、さまざまな野球体験プログラムをもうけた。中学生は、子どもたちをサポートする側に回り、笑顔と元気な声でフェスタを盛り上げた。

■“入り口”を大きくすることが大事


2019年度、川口市内で初心者の入部率がもっとも高かったのが川口市立上青木中だ。新入生10名中8名が中学から野球を始めた生徒で、そのうち3名が女子生徒。三学年合わせると19名中、12名が初心者となる。
就任3年目を迎えた大野尭之監督に、部員増の要因を教えてもらった。



――初心者が増えた要因をどのように考えていますか。
大野 川口市全体の取り組みとして、“入り口”を大きくしているのが、一番の要因だと思います。以前までは敷居を高くしすぎていました。私自身、中学から野球を始めたのですが、一生懸命に練習を重ねていけば、野球は中学からでも活躍できるスポーツです。

――上青木中ならではの理由はありますか。
大野 今年の3年生は、野球経験者・未経験者を問わず、そしてサークルベースボールなどの体験活動に参加する小学生に対しても、非常に面倒見がいい生徒たちです。この優しさが、後輩に伝わったのではないでしょうか。部活動見学や仮入部を通して、「野球はどんな生徒でも楽しくできる、本気になれるスポーツ」と体現してくれていました。

――“入り口”という点では、「強制坊主の禁止」が一番わかりやすい改革だと思います。
大野 髪型は自由です。丸刈りの子もいれば、長い子もいる。「坊主頭だったら野球部に入っていない」という子もいます。

――選手に話を聞いてみると、思った以上に坊主頭には抵抗がありますね。
大野 彼らは反抗しているわけではないんです。「何で野球をやるのに、坊主頭にしなければいけないのか」という疑問がある。「やらされている」と感じているんですよね。

――本来は、自分で決められるのが理想ですよね。
大野 私も坊主頭には抵抗があって、高校に進むときに「坊主じゃない高校で野球をやりたい!」と、髪型が自由だった進学校を目指して勉強していました。結局、そこには入れずに、坊主頭の私立に入ることになったのですが。

――前任校(川口市立仲町中)でも髪型は自由でしたか?
大野 その頃はまだ丸刈りですね。川口市は伝統的に「野球部は坊主頭」という暗黙のルールがあったのです。ただ、「坊主頭=チームのまとまりを示すもの。気合いの表れ」と言われることには、抵抗感はありました。

(取材・写真:大利実)


後編「初心者の入部率が高い上青木中の監督が考える『部活動の役割』」に続きます。
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