父は殿堂入りの強打者
2019年メジャーリーグのプロスペクトランキング(プレシーズン)が発表された。『プロスペクト』とは、若手の有望株のことで、新人王の資格を持つ選手たちを専門家らが評価。MLB公式サイトがシーズンを通して1位から100位までにランク付けしている。
1年前のプレシーズンには大谷翔平(エンゼルス)が1位。ロナルド・アクーニャ(ブレーブス)が2位と高い評価を受け、それぞれア・ナ両リーグの新人王に輝いた。まさにこのプロスペクトランキングで上位評価されることは、イコール将来の活躍を約束されたといっても過言ではない。
今回発表されたランキングで1位に輝いたのは、昨季のプレシーズンで大谷とアクーニャに次ぐ3位にランクインしていたブラディミール・ゲレーロ・ジュニア(ブルージェイズ)。3月に20歳の誕生日を迎えるゲレーロの父は、かつてエンゼルスなどで活躍したブラディミール・ゲレーロ。通算打率.318、449本塁打を記録するなど強肩強打の外野手として、オールスターに9度も選出された偉大な打者だった。資格2年目の2018年には殿堂入りも果たしている。
その息子で同名のジュニアは主に三塁を守り、父に匹敵する逸材と高い評価を受けている。19歳の昨季は主に2Aと3Aでプレーし、2Aでは61試合に出場して打率は驚異の.402をマーク。3Aでも30試合で.336というハイアベレージを残した(マイナー合算では.381)。さらに20本塁打、78打点とパワー面でも父を彷彿とさせる数字を残している。
もし、今季のオープン戦で結果を残して開幕からメジャーに定着すれば、20歳にして3割・30本・100打点も十分可能だろう。メジャーデビューイヤーに達成すれば、2014年のホセ・アブレイユ(ホワイトソックス)以来5年ぶり史上5人目の快挙となる。
開幕メジャーへの壁といえば、チームがゲレーロの保有期間を1年長くするために、あえてメジャー昇格を数週間遅らせることだろう。ほんの数週間でFA権取得を1年遅らせることができる。ただ、どちらにしても今季の早い段階でメジャーの舞台でプレーすることは間違いないだろう。
ゲレーロはまだメジャーで1度も打席に立っていないため過度の期待は禁物だが、将来的にはボンズ父子やグリフィー父子と同列で語られるような選手になっても何ら不思議ではない。父がメジャーの第一歩を踏み出した同じカナダの地でゲレーロはどのようなインパクトを与えてくれるだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)