コラム 2021.05.26. 06:29

ファンにブチギレた選手、44分に及ぶ“水掛け論”も…交流戦で起こった驚くべき「珍ハプニング集」

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3度の自打球にも負けず、スタンドに叩き込んだ阪神の助っ人も… (C) Kyodo News

広島・今村猛の“トンボ効果”とは…?


 ついに幕を開けた『日本生命セ・パ交流戦』。しばらくパ・リーグの優勢が続いているが、今年こそセ・リーグの巻き返しはあるのか…。2年ぶりの開催に注目が集まる。

 ベースボールキングでは、交流戦の開幕に合わせて過去の“交流戦珍事件”を振り返る特集を展開中。今回は、驚くべき「珍ハプニング集」を紹介したい。




 グラウンドでプレーする選手ではなく、選手の帽子に止まったトンボが主役の座をさらったのが、2014年6月14日のロッテ-広島だ。

 8連敗中の広島は、6回に丸佳浩の3ランなどで4-3と逆転。その裏から先発・大瀬良大地に代わって、今村猛がマウンドに上がった。

 ハプニングが起きたのは、4-4で迎えた7回のこと。今村の帽子の真後ろにどこから飛んできたのか、1匹のトンボがピタッと止まり、羽根を休めているではないか…!



 だが、今村はまったく気づかず。そのままサブローを三振、クルーズを遊飛、金沢岳を右飛に打ち取り、無失点に抑える。

 その間も、トンボはよほど居心地が良かったのか、帽子に止まったまま。テレビの実況アナも、解説の清水直行氏とトンボ談議に花を咲かせている。


 ちなみに、トンボは“勝ち虫”の別名で呼ばれ、戦国武将の兜の前立てなどにも用いられる縁起物。今村の好投も“トンボ効果”と言うべきか…。

 そして、ベンチに戻った今村が帽子を脱ぐと、ようやく異変を感じたトンボはサッと飛び立っていった。ほんのひとときだったが、たまにはこんなほのぼのシーンも悪くない。


オリックス・仰木彬監督が審判に詰め寄った!


 投手交代を「告げた」「告げない」で審判と監督が口論になり、試合が小一時間にわたって中断したのが、2005年6月4日の広島-オリックスだ。

 3点をリードしたオリックスだったが、8回二死一・二塁から加藤大輔が代打・浅井樹に適時打を浴びて1点を返された直後、神部年男コーチがマウンドに向かい、続いて仰木彬監督もベンチを出たが、実は交代を告げるためではなかった。

 浅井に打たれる直前に加藤が投げた際どいコースの球を土山剛弘球審にボールと判定されたため、「ストライクやないか?」と確認に行ったのだが、「外れてます」と言われたため、「そうか…」と引き揚げようとした。


 ところが、その背中越しに突然「ピッチャー・菊地原(毅)!」とコールする声が聞こえてきたから、「えっ!?」とビックリ仰天。再び土山球審に詰め寄り、「交代は告げていない」と抗議した。

 だが、土山球審は「ストライク、ボールのことを聞かれる前に“ピッチャー・菊地原”と言われた」と主張。これに対し、仰木監督は「ふつう代えるときに、投手コーチがベンチに帰ってくるか?」と反論したが、取り合ってもらえず、「言った」「言わない」の水掛け論に発展。

 なんと試合は44分も中断し、仰木監督は遅延行為を理由に退場処分となった。


 長時間待たされたファンには、はた迷惑な話だが、そんな不満の解消にひと役買ったのが両軍ナインだった。

 中断の時間を利用して、広島は野村謙二郎やベイル、オリックスは阿部真宏、村松有人らがサインボールを次々にスタンドに投げ込み、懸命のファンサービス。

 ボールをキャッチできたファンは、仏頂面から一転ニコニコ顔に早変わりしたことだろう。


阪神・赤星憲広がインタビュー中に…


 ヒーローインタビュー中の選手がファンのヤジにブチ切れるというハプニングが起きたのが、2008年5月24日のソフトバンク-阪神だ。

 1点を追う阪神は9回二死満塁、赤星憲広が左前に逆転2点タイムリーを放ち、チームを勝利に導いた。

 試合後、赤星のヒーローインタビューが始まったが、敵地の福岡ヤフードームという事情から、テレビ中継用のインタビューとなり、場内に放送されなかったことがトラブルを招く。

 談話が聞こえないことに苛立った一部のファンが、「もっと聞こえる声で喋らんかい!」などとヤジりはじめたのだ。

 ふだんは温厚な赤星も我慢も限界。生放送中にもかかわらず、「とにかくツーアウト満塁だったんで…」まで答えた直後、突然スタンドのほうに顔を向けると、「(マイクが)入ってねえんだよ、この野郎!」と声を荒げてしまう。


 テレビ観戦のファンは何が起きたのかわからず、怒る赤星の姿に目を白黒。

 その後、動画がネット上で拡散される騒ぎになったが、近年はビジターチームのヒーローインタビューも場内に放送する球場が増え、この種のトラブルはなくなりつつある。


阪神・ブラゼル、“自打球禍”から意地の一発


 自打球を3回続けて体に当てる災難にもめげず、最後に意地の一発を放ったのが阪神・ブラゼルだ。

 2009年6月13日のロッテ戦。0-7と大きくリードされた阪神は、先頭のブラゼルがカウント1ボール・1ストライクから小野晋吾の内角スライダーをファウルしたが、その直後、自打球が右膝付近を直撃。“弁慶の泣き所”だから、痛さもハンパではない。ブラゼルは顔を歪めてその場に倒れ込んでしまった。

 それでも必死に痛みをこらえて再び打席に立ったが、今度は4球目のファウルが左膝付近を直撃。両膝を相次いでやられたブラゼルはうつぶせになったまま、しばらく動けなかった。

 そして、5球目もファウルが右足首付近にゴツーン!

 ブラゼルは「もう笑うしかない」と言いたげに苦笑した。しかし、3度にわたる自打球禍をものともせず、ブラゼルは6球目の外角シュートを右中間席中段に運ぶ。


 一塁に向かおうと最初の一歩を踏み出そうとしたとき、またしても激痛に襲われ、崩れ落ちるハプニングもあったが、足を引きずりながら、やっとの思いでダイヤモンドを一周。

 その直後、トレーナーに付き添われて病院に向かったが、両膝部打撲で大事に至らなかったのが幸いだった。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)
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