連勝記録がかかる日本ハムに立ちはだかる男
日本ハムの快進撃が止まらない。
10日のゲームでは9回二死からの同点弾と、12回のサヨナラ弾で大逆転勝利。最大5点あったビハインドを跳ね返し、連勝が「14」まで伸びた。
9年前に記録した球団記録に並び、いよいよこれから未知の領域への挑戦。まずはオリックスとの3連戦・初戦で球団新記録の樹立を目指すことになる。
ところが、球団新記録がかかる11日の試合で、日本ハムの連勝記録よりも注目を浴びている一人の男がいる。オリックスの予告先発投手として発表されたミッシュだ。
「途中で獲った人?」
パット・ミッシュ――。1981年8月18日生まれの34歳左腕。オリックスに今季から加入した188センチの長身左腕である。
予告先発が発表された時、ネット上の反動で最も多かったのが「誰?」というもの。他球団ファンはともかく、オリックスのファンからも「よくわからない...」という声が挙がっていた。
実は、選手名鑑でオリックスの背番号「25」を引いてみると、載っていないものも少なくない。というのも、このミッシュがオリックスと契約を結んだのは2月下旬のことであり、支配下登録された日付も2月23日。そのため、間に合わなかったというわけだ。
選手名鑑にも載っていないのだから、「途中で獲った人?」と勘違いするのも無理はない。しかし、実際は開幕から在籍していた選手なのである。
「来日初登板?」
また、「ここで来日初登板か!」「最初で最後にならないように...」と案じるファンもいたが、実はミッシュの登板というのはこれが“最初”ではない。
開幕こそ二軍スタートとなったミッシュであるが、4月9日には一軍に昇格。その日、鹿児島で行われたソフトバンク戦で来日初登板を果たしている。
5回一死満塁の大ピンチでマウンドに送り込まれた左腕は、初めてのマウンドで“伝説”を残す。日本での第1球目の投球に入ろうとしたその時、まさかの「ボーク!」。来日1球目の直前にボークを取られるという前代未聞の事態に、球場がざわついた。
さらに、つづく中村晃にはレフトへの2点タイムリーを献上。なんとかその3点でしのいだが、アウト2つ取るまでにヒット2本と四球1つを与えるなど、不安を残す結果となった。
さらにその翌日、熊本で行われたソフトバンク戦に連投すると、今度は松田に一発を浴びるなど2回を3失点。この日を最後に、ミッシュは一軍のマウンドから遠ざかることになるが、にも関わらず5月2日まで登録抹消がされなかったため、ネット上では不安の声も挙がっていた。
なんか“気になる”…
そんなこんなを経て、3カ月ぶりに一軍マウンドへと戻ってきた助っ人左腕。先発は来日初のこととなる。
ちなみに、台湾リーグでプレーしていた昨年は主に先発として活躍。台湾シリーズでは、史上初となるノーヒットノーランも達成したという経験も持つ。
日本でも二軍降格後、ファームで7試合に登板し、0勝1敗ながら防御率は2.02と安定した投球を披露。先発という持ち場で、技巧派左腕の本領発揮なるか……。にわかに注目が集まっている。
「こういう時にふつうにいい投球しそう」「もはや連勝よりミッシュの方が気になってきた」――。
世間の注目が日本ハムの連勝記録へと向く中、なんか“気になる”オリックスの左腕にも注目が集まり始めている。