節目の一発は豪快にバックスクリーンへ
バックスクリーン上段に豪快に叩き込んだ。ヤクルトのウラディミール・バレンティンが、8月26日のDeNA戦(神宮)でプロ野球史上62人目の通算250号本塁打を達成。外国人選手では史上8人目となる。
2-2と同点で迎えた3回、無死三塁のチャンス。DeNAの左腕・今永昇太から放ったリーグトップの33号2ランは、節目の一発となった。試合後はメモリアルアーチの記念球を手にし、「家に帰ってケースに入れて飾る」と喜びを表現した。
250号本塁打の最速記録を持つのは、95年のラルフ・ブライアント(当時近鉄)と07年のアレックス・カブレラ(当時西武)の733試合。バレンティンは869試合での到達で、落合博満(当時中日)の878試合を抜く歴代3位のスピード記録となる。
ここまで4番としてチームを牽引する主砲は、8月19日の阪神戦(神宮)でタフィ・ローズと並ぶ7度目の30号の大台に到達。お立ち台では「チームメイトの協力やコーチ、監督が自分を使ってくれているので達成できた」と殊勝に語った。
来日8年目の今季は、「フォア・ザ・チーム」の姿勢が目立つ。好機に軽打で走者を還そうとする打撃や、ベンチでチームメイトを鼓舞する姿が多く見られる。8月21日の広島戦(マツダ)の5回には、二死一塁から二盗に成功。4年ぶりの盗塁も決めた。
それでも、バレンティンの最大の魅力はやはり本塁打。同日の延長10回一死からは、決勝の31号ソロをレフトスタンドへ運び、今季マツダスタジアムでの初勝利に貢献した。
また、26日の試合終了時点で110打点はリーグトップ。打点王に輝けば自身初となる。今季は、本塁打と打点の二冠を手にする可能性が現実味を帯びてきた。
通算250号に到達した外国人選手8人の“本塁打率”
バレンティンの他にも、過去日本でプレーした外国人選手で250本塁打以上を放った選手は7人いる。
ここで、現役のバレンティンを加えた“最強助っ人”8人の本塁打率を、以下のようにランキング形式で紹介する。本塁打率とは、「1本塁打を放つのにどれだけの打数を要したか」を表している。
【外国人選手・本塁打率ランキング】 ※通算250本塁打以上
1位 11.51 ブライアント(2980-259)
2位 11.94 バレンティン(2986-250)
3位 12.63 カブレラ(4510-357)
4位 13.52 ローズ (6274-464)
5位 16.07 ブーマー(4451-277)
6位 17.41 レオン (4667-268)
7位 17.43 リー (4934-283)
8位 17.65 ラミレス(6708-380)
※()内は打数と本塁打数
1位は89年、93年、94年と3度の本塁打王を獲得したラルフ・ブライアントだ。打数は少ないものの、89年のパ・リーグ優勝争いの中、ダブルヘッダー西武戦で記録した4打数連続本塁打はファンの間でも伝説となっている。
同じく唯一の現役選手として2位に位置するバレンティンも、13年の交流戦(対日本ハム、ソフトバンク)で3試合に渡って同記録をマークしている。
3位のアレックス・カブレラは、西武在籍時の05年6月3日・横浜戦で西武ドームの天井へ直撃させる同球場初となる認定アーチを放ったパワーの持ち主。これが推定180メートルでプロ野球史上最長とされている。
通算本塁打数だけを見れば、464本塁打を記録したタフィ・ローズが1位。2位は380本塁打を放った現DeNA監督のアレックス・ラミレスという順になるが、本塁打率で並べると順位が変わってくる。
日本での実働期間が各選手異なるため、単純に数字だけで評価できないが、上位に位置する助っ人たちが残したインパクトはやはり計り知れない。
13年にはプロ野球史上初となる60本塁打を放ったバレンティン。この年の本塁打率は7.32と、驚異的な数字を残した。通算本塁打率でも今後、どのように変動していくのか気になるところだ。
ヤクルトはクライマックスシリーズ進出へ向けて、し烈な戦いが続く。勝利を呼び込むバレンティンの一発から目が離せない。
文=別府勉(べっぷ・つとむ)