コラム

未来の日本球界を担うゴールデンエイジ「94年組時代の始まり」

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94年生まれの藤浪晋太郎(左)と大谷翔平(右)
藤浪晋太郎,大谷翔平

注目選手が多い「94年組」


 新成人のニュースで賑わう3連休真っ只中、スポーツ新聞各紙の1面をひとりのアマチュア球界の投手が独占した。今年度ドラフト最注目選手・田中正義投手(創価大3年)である。大学生投手としては江川卓や上原浩治に匹敵する数十年に1人の逸材と称される156キロ右腕。すでに1位指名を公言する球団も出てきており、89年野茂英雄や90年小池秀郎の8球団競合を超えるドラフト史上最大のタナカ争奪戦になる可能性も高い。

 94年7月19日生まれの田中正義。すでに侍ジャパンの柱として君臨する大谷翔平(日本ハム)も94年7月5日生まれ。そして高校時代から大谷のライバルとして注目されてきた藤浪晋太郎(阪神)は94年4月12日生まれである。まさに規格外の3人の投手が顔を揃えたゴールデンエイジ。未来の日本球界を牽引するのは彼ら「94年組」だろう。

 プロ野球界の時の流れは早い。90年代後半から00年代の球界を席巻したのは「松坂世代」だった。80年9月13日生まれの松坂大輔(ソフトバンク)を中心とした世代も2016年には36歳になる。06年の第1回WBCでは5名の日本代表選手を輩出した彼らだが、その多くはすでに現役を退き、松坂や杉内俊哉(巨人)のように故障に苦しむ選手も多い。

 そんな松坂世代に代わり、00年代後半から台頭したのが「88年組」である。田中将大(ヤンキース)と前田健太(ドジャース)は2010年以降、それぞれ2度ずつ沢村賞を受賞。昨年、プレミア12に出場した侍ジャパンにはこの前田を始め、大野雄大(中日)、沢村拓一(巨人)、坂本勇人(巨人)、秋山翔吾(西武)と多くの88年組が名を連ねた。『トリプルスリー』で2015ユーキャン流行語大賞に選出された柳田悠岐(ソフトバンク)もこの世代である。

 そして今季は高橋純平(ソフトバンク)、小笠原慎之介(中日)、平沢大河(ロッテ)といった97年組がプロ生活をスタート。楽天ドラフト1位のオコエ瑠偉は野球人生の目標として堂々と将来のメジャー行きを宣言し、憧れのスターはサッカー界のネイマール(FCバルセロナ所属)と屈託なく公言する。オコエは97年生まれで野球を始めたのは小学1年の時。つまり、物心ついた時にはイチローも松井秀喜も日本球界にはいなかった。彼らはスーパースターを海の向こうに見ていた最初の世代でもある。

 多くのベテラン選手が去り、入れ替わるように新世代の小笠原やオコエがプロの世界へ飛び込んだ平成28年。松坂世代は歳をとり、田中マー君の後を追うようにマエケンもメジャーリーグに去った今、気が付けば日本のエースの系譜は大谷や藤浪へと引き継がれようとしている。

 監督も含め一気に若返った感のある日本球界。恐らく2016年のプロ野球は「世代交代」の1年として人々の記憶に残ることだろう。

文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)
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