コラム 2017.12.26. 12:00

“与死球率”に表れる広島投手陣の驚異的制球力

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圧倒的な強さを誇った広島(C)KYODO NEWS IMAGES

死球が物議を醸したセ・リーグ


 今季のセ・リーグは、「死球」が例年以上に注目を集めたシーズンだった。

 開幕直後の4月4日:阪神-ヤクルトの一戦では、阪神の先発・藤浪晋太郎がヤクルト・畠山和洋の頭部付近へ死球を与えて乱闘騒ぎに発展。以降、制球難を露呈した藤浪の登板試合では、右打者方向へとボールが抜けるたびに球場がどよめくようになってしまった。

 その阪神から6つの死球を受け、広島・田中広輔と並ぶリーグ最多の15死球を記録した中日・ゲレーロは、9月1日の阪神戦でこの試合2個目の死球を受けると、ヘルメットをたたきつけて激高。「タイガースは(死球が)多過ぎる、野球じゃない」というコメントを残している。

 実際のところ、阪神の与死球は多かった。チーム与死球数62は、中日の65に次ぐ12球団ワースト2位。ただし、死球はその数だけで評価できるものでもない。プロでは“外角一辺倒”の配球は通用しない。時に内角を突く強気の投球も必要とされ、それが結果的に死球を生むことにもなる。

 四球とは異なり、打者に恐怖心を植え付ける死球は、次打席以降に“威力”を発揮することもある。故意ではないにせよ、「ぶつけてもいい」くらいの気持ちで内角を攻めるケースもあるだろう。そのため、投手の制球力だけでなく、捕手のリードの傾向やチーム方針によっても与死球数は変わってくる。

 とはいえ、出塁を許すという意味では、死球はやはり少ないに越したことはないというのが本当のところではないか。独走で連覇を果たした広島の与死球数は26。中日や阪神の数字の半分にも満たない断トツの12球団最少である。


“与死球率”チームワーストの九里でもリーグで見ると…


 広島の与死球の少なさは、先述のように捕手のリードやチーム方針によるところもあるだろう。しかし、やはり投手陣の高い制球力なくして生まれるような数字ではない。

 ここで、投手が9投球回当たりに与えた死球数を“与死球率”として見てみよう。以下は、今季50イニング以上を投げた両リーグの投手の与死球率ワースト20である。

【両リーグ与死球率ワースト20】※50投球回以上
1位 1.399 青柳晃洋(神)  投球回:64.1回 死球:10個
2位 1.220 藤浪晋太郎(神) 投球回:59.0回 死球:8個
3位 0.984 岡本洋介(西)  投球回:64.0回 死球:7個
4位 0.935 中田賢一(ソ)  投球回:86.2回 死球:9個
5位 0.818 スタンリッジ(ロ)投球回:77.0回 死球:7個
6位 0.794 藤川球児(神)  投球回:56.2回 死球:5個
7位 0.745 多和田真三郎(西)投球回:96.2回 死球:8個
8位 0.726 ジョーダン(中) 投球回:74.1回 死球:6個
9位 0.706 安楽智大(楽)  投球回:51.0回 死球:4個
10位 0.692 村田 透(日)  投球回:52.0回 死球:4個
11位 0.671 メンドーサ(神) 投球回:120.2回 死球:9個
12位 0.652 鈴木翔太(中)  投球回:69.0回 死球:5個
13位 0.651 近藤一樹(ヤ)  投球回:55.1回 死球:4個
14位 0.641 石川柊太(ソ)  投球回:98.1回 死球:7個
15位 0.639 釜田佳直(楽)  投球回:56.1回 死球:4個
16位 0.634 武田翔太(ソ)  投球回:71.0回 死球:5個
17位 0.628 岩崎 優(神)  投球回:71.2回 死球:5個
18位 0.574 伊藤準規(中)  投球回:62.2回 死球:4個
19位 0.572 小野泰己(神)  投球回:78.2回 死球:5個
20位 0.568 カミネロ(巨)  投球回:63.1回 死球:4個


 阪神の投手では、青柳晃洋と藤浪がワンツーフィニッシュ。さらに藤川球児、岩崎優、小野泰己、シーズン終盤に加入したメンドーサがランクインした。

 チーム与死球数で12球団ワーストだった中日は、ジョーダンのワースト8位が“最低位”。ということは、満遍なく多くの投手が死球を与えたということだろう。

 ワースト20にひとりもランクインしていないのはオリックス、DeNA、広島の3チーム。それぞれのチーム内で最低位だったのは、オリックスが与死球率0.535でワースト21位の西勇輝、DeNAが0.494でワースト27位の砂田毅樹、そして、広島は0.309でワースト53位の九里亜蓮だ。チーム内最低の数字だった九里が、12球団ではワースト53位。それだけ広島の投手陣の与死球は少なかったということだ。

 12球団トップのチーム打率.273を誇る打線が注目されがちな広島だが、投手陣の驚異的な制球力もまた連覇を力強く支えていたのだ。


文=清家茂樹(せいけ・しげき)


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