コラム 2023.02.28. 06:44

投手経験わずか2年で「最速151キロ」 専大松戸・平野大地が選抜で躍動する!

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専大松戸・平野大地 [写真提供=プロアマ野球研究所]

プロ注目の“東日本No.1投手”


 3月18日に開幕する『第95回記念選抜高等学校野球大会』。今年は“記念大会”ということで、一般選考枠が4校増えて全36チームが参加。1月27日には選考委員会が行われ、出場校が出揃った。


 古くから「春は投手力」と言われ、好投手を擁するチームが勝ち進むことが多い。

 そこで今大会に出場するチームを見て行くと、“東日本No.1”の呼び声高い投手が千葉にいる。専大松戸のエース・平野大地だ。


▼ 平野大地(専大松戸)
・投手 
・181センチ/84キロ 
・右投右打

<主な球種と球速帯>
ストレート:140~151キロ
カーブ:110~115キロ
スライダー:125~127キロ
フォーク:126~130キロ

<クイックモーションでの投球タイム>
1.28秒

<秋季大会成績>
5試合(32回1/3) 被安打25 自責点6 防御率1.67
奪三振31 四死球15(四球8・死球7)
奪三振率8.63 四死球率4.18 WHIP1.02


一気にドラフト候補に駆け上がる


 中学時代は関東で屈指の強豪として知られる『取手リトルシニア』でプレーしていた平野。しかし、当時はキャッチャーとファーストを兼任しており、決して目立つような選手ではなかったという。

 専大松戸に進学後、本格的に投手に転向したとのこと。そんな平野が一躍脚光を浴びたのは、昨年夏の千葉大会・千葉英和戦だ。

 7点をリードした9回裏からマウンドに上がると、140キロ台後半のストレートを連発。なんと最速は150キロに達した。

 準々決勝の成田戦では公式戦初先発を任され、7回を2失点、8奪三振の好投でチームを勝利に導いている。この活躍で、一気に2023年のドラフトで有力候補に浮上したといえるだろう。


 だが、昨秋の平野は決して順調だったわけではない。肋骨を痛めた影響で出遅れ、当初は県大会のベンチ入りメンバーからも外れており、大会直前に何とか滑り込みで登録された。

 コンディションは100%に程遠いものだったと推測される。そんな中でもさすがの投球を見せたのが、関東大会の出場をかけた準決勝の市立船橋戦だ。

 毎回のように走者を背負い、8回には味方のエラーで3点差を追いつかれる苦しい展開となったものの、最終的には11回を1人で投げ抜き、4失点(自責点1)完投勝利を飾った。


 ストレートは自己最速の151キロには及ばなかったものの、最速148キロをマーク。5回終了時点での平均球速は145.9キロと、2年秋の段階としてはかなりハイレベルな数字を残している。

 もともとキャッチャー出身ということもあって、少し上半身の強さが目立つフォームで、全体的に重心が高い点は気になったものの、踏み出した左足の着地が安定しており、上手くボールに力を伝えることができている。

 市立船橋戦は11回で6個の四死球を与えているが、決してコントロールも悪いわけではなく、内角を厳しく攻めたボールが死球になったケースも2度あり、腕を振って両コーナーに速いボールを投げられる。これも大きな魅力だ。


変化球も高校生でトップクラス


 平野の持ち味はストレートだけではなく、変化球で相手の打ち気をそらすピッチングができる上手さも備えていること。

 特に組み立ての中心となるスライダーはスピード、変化の幅にバリエーションがあり、高校生ではトップクラスのボールである。カーブとフォークはまだそこまでの信頼はなさそうだが、それでも打者に印象を残すには十分なボールに見えた。


 故障明けということと、市立船橋戦で11回を投げ切った疲れもあってか、関東大会ではストレートが140キロ台前半まで落ちていた。だが、しっかり試合を作って勝利に導いたのは、投手としての能力の高さの表れと言えるだろう。

 投手を本格的に初めてまだ2年足らずで、これだけのスピードと変化球を身につけていることに驚きを禁じ得ない。選抜は万全の状態で、大観衆を驚かせるようなピッチングを見せてほしい。


文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
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