宮崎はキャンプの聖地
2月――。宮崎県内は毎年、お正月を迎えたような賑わいとなる。なぜなら、プロ野球のキャンプが始まるからだ。
今年も巨人にソフトバンク、オリックス、広島、西武、そしてヤクルト二軍、楽天二軍の7球団が集結。報道陣も含めれば、ものすごい大人数が東京から移動してきた。
なおかつ、プロ野球だけでなくJリーグのチームも集まる。
今年で言えば、J1の仙台、鹿島、大宮、FC東京、川崎、横浜Fマリノス、甲府、ガンバ大阪、広島、福岡、さらにはJ2の千葉、町田、横浜FC、金沢、セレッソ大阪、岡山、山口、徳島、長崎、そしてJ3からも栃木に長野と、何と21ものクラブが宮崎県内でキャンプを張っていた。
巨人がキャンプを行うのは、宮崎サンマリンスタジアム。同じ敷地内に宮崎県陸上競技場(KIRISHIMAハイビスカス陸上競技場)があり、そこでは鹿島、仙台、大宮、徳島のJリーグクラブも練習している。
ということで、サッカー目的の取材陣やファンも、巨人の選手が走ったり、ウォーキングしたりする姿を見ることができるのだ。阿部慎之助や坂本勇人といったスター選手が普通に歩いていたりするので、ファンにとっては驚きの光景だ。
街を歩けば選手に遭遇…?
宮崎市内の繁華街も、この時期になると大賑わい。選手に遭遇する確率はかなり高く、5メートル歩けば別の選手に出くわすといった調子だ。
「何度来ても、宮崎はいいね」、「地鶏はうまいな」、「黒霧島より赤霧島の方がうまいな」、「もう一件、いこう」、「最後は釜揚げうどんだろ」などといった会話があちこちから聞こえてきた。
宮崎の人に聞くと、「2月の人口が一番多い。だから、今がかき入れ時なんです」と興奮気味に話してくれた。
サッカー選手と野球選手が同席して食事をする、なんてこともよくある。
カズこと三浦知良(横浜FC)は、イチローと昔よく食事をしたという。日本スポーツ界を背負う2人ならではの「あうんの呼吸」があるのだろうか。初対面から話が弾んだというからすごい。
一方で、宮崎市内から少し離れた日南市でキャンプを張る広島と西武は大変だ。
宮崎市の中心部から車で約80分。簡単には遊びに行けない環境なのだ。もちろん、日南市にも絶品料理が味わえる名店や商店街もあるが、もっとも賑わう宮崎市の繁華街「橘通り」の規模にはよほど及ばない。待っているのは「野球漬け」の毎日だ。
ある西武選手は言う。「橘通りに行きたいですけど、遠いし…。近くのコンビニ行くのが楽しみになってきました」。広島と西武には、宮崎市内中心でキャンプする巨人やソフトバンクを超える“環境と練習量”がある。