昨季よりも充実したオフに
高知市東部野球場で行っていた秋季キャンプ、そして25日のファンフェスタを終え、オリックスの選手たちも束の間のオフシーズンに突入していく。
2月の春季キャンプから11月末まで、長いシーズンを戦う選手たちにとっては貴重な『オフシーズン』になるが、今シーズン台頭した“神童”山本由伸は「重要なのはオフシーズン」であることを強調する。
「オフシーズンは凄く大切な期間。今年、一軍でたくさん投げられたのは昨年のオフシーズンがあったからこそ。オフシーズンは休む時期でもありますけど、真剣に自分自身と向き合える最高の時間でもある。1年目のオフにそれを実感しました」
「今年もしっかり自分と向き合って、シーズンに向けて、体も考えも技術も全ての土台を作って、もっともっと上の段階へ行って理想の自分に近づきたい」
“理想の自分”というのは「野球界でトップに立つこと」であり、その背景には「トップに立つことで、僕が関わるチームだったり、ファンの皆さん、そしてお世話になっている人や家族…その全てに良い影響を与えられるような存在になること」という思いがある。だからこそ、「2度目のオフシーズンは昨年よりも充実した時間にしなきゃダメ」だと考えているのだ。
今季よりも強固なベースを
自身が掲げる“理想”に向け、様々なアクシデントが起こり得ることは百も承知。むしろ「それをクリアすることを楽しみたい」と語る。そこに“妥協”の二文字は存在しない。
昨年よりも充実させたいという2年目のオフシーズンだが、「フォームを変えたり、新しい球種を覚えることは考えていない」ようだ。なぜなら「今はまだまだ全然満足のいくピッチングができてない」から。このオフは「今までやってきたこと」の延長線上の取り組みになり、そこでしっかりとした下地を作るつもりだ。
シーズン中も常に同じ状態を保つため、毎朝同じトレーニングを繰り返すことで、カットボールが150キロを超えるなど進化し続けた自負もある。オフシーズンも「今までやってきたこと」をやり続けることで、今年よりもさらに進化した“神童”山本由伸を来年の春季キャンプで披露してくれるだろう。
そして、「今より少し満足のいくピッチングができるようになったら、皆さんが見てもわかるくらいの変化をしているかもしれない」と語る。そういった意味でも「オフシーズンの過ごし方はかなり重要になる」はずだ。オフシーズンの山本由伸にも引き続き注目していきたい。
神童対談が実現
余談になるが、舞洲で行われていた秋季練習期間中には、格闘技好きの山本由伸と同い年で、“プロボクシング界のレジェンド”フロイド・メイウェザーとの対戦が話題となっているキックボクシング界の“神童”那須川天心との対談が実現。山本由伸は「天心くんは自分の中にすごい強い意志を持っている」と振り返り、「プロ野球で活躍している先輩たちも自分の強い意志や考えを持っている。活躍する選手はスポーツが違っても共通点がある」と感じたという。2人は「競技は違うけどこの世代で盛り上げていこう」という気持ちで一致しており、お互いにとって意義のある対談になったようだ。
山本由伸の親友で、天心のジムに所属している須田翔貴のデビュー戦も対談の模様と同日に放送されるとあって、本人は「翔貴の試合も一緒に見て欲しい」と、親友との“共演”についても嬉しそうに話していた。
取材・文=どら増田