野球界との意外な接点
10月30日(日)、東京競馬場で行われた「第154回 天皇賞(秋)」。JRAが前身としている「The Emperor's Cup(エンペラーズカップ)」までさかのぼると、1905年にその起源をもつという伝統の一戦。勝利したのはモーリス(牡/5歳)とライアン・ムーアのコンビだった。
レースの格付けで最高グレードにあたるGでの勝利は、海外のレースも含めると5勝目。まさに世界を代表するトップホースとなったモーリスであるが、実は野球界とも関係がある。
というのも、このモーリスを育てた生産牧場が北海道の「戸川牧場」。ここの代表を務める戸川洋二氏の息子が現在西武でプレーする戸川大輔なのだ。
モーリスとともに育った男
1996年4月29日に、北海道沙流郡の日高町で生まれた戸川。競走馬の育成牧場で、数々のサラブレッドとともに育った。
高校は昨夏の甲子園で準優勝を成し遂げた北海高へと進学。3年時の南北海道大会札幌予選では2回戦で敗れるも、大自然で育まれた188センチ・86キロの恵まれた体格と高い身体能力がプロの目に留まり、2014年の育成ドラフト1巡目で西武から指名を受けた。
「走攻守3拍子揃った選手。馬力がある」と評され、その力強いスイングは柳田悠岐(ソフトバンク)と重ねられることも。球団初の高卒育成選手として大きな期待をかけられ、所沢の新たなファームで育てられることになった。
ファームでは1年目から50試合に出場。70打数9安打で打率は.129と壁に苦しんだが、1年目の契約更改で球団から支配下登録を通達された。
新たにもらった背番号「71」といえば、あの秋山幸二が1年目に背負ったゲンの良い番号。気持ちを新たに挑んだ2年目のシーズンは76試合に出場機会を増加。168打数31安打で打率.185と、ゆっくりではあるが着実に成長を見せている。
ともに育った“ライバル”に追いつけ、追い越せ
17戦10勝、うちGⅠが5勝というモーリス。海外も含めた総獲得賞金は約8億円にものぼる。
一方、戸川の現在の推定年俸は500万円。それでも、活躍次第でいくらでも夢が広がっていくのがプロ野球の世界だ。
ともに育った愛馬に追いつき、追い越せ...。西武の将来を担う20歳・戸川大輔の活躍に期待したい。
▼ 戸川大輔
生年月日:1996年4月29日(20歳)
身長/体重:188センチ/86キロ
投打:右投左打
ポジション:外野手
経歴:北海高-西武(14年・育1)
[今季成績] 76試 率.185(168-31) 本1 点8