コラム

高橋由伸「僕らの世代のスーパースターから巨人新監督へ」

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巨人の新監督に就任した高橋由伸氏(c)KYODO NEWS IMAGES
高橋由伸,


「僕らの世代のスーパースター」

 引退会見で同級生のことを聞かれた井端弘和はそう答えた。巨人新監督の高橋由伸はともに75年生まれ。「高校生の時に対戦した試合でとてつもなく大きいホームランを打って…こんなヤツがいるのか」という10代の衝撃の出会いから巨人時代までを振り返り、井端は時折笑みを浮かべながら高橋由伸への感謝の言葉を並べた。「ずっと彼を彼を見ながら、この18年、高校も入れたら25年くらいですかね。最後に一緒にプレーできて一緒に辞められるってことはこれほど素晴らしいことはないかなと思います。彼のおかけでいい野球人生が送れた」

 そしてこちらも同い年で誕生日も由伸と同じ4月3日の上原浩治(レッドソックス)は自身のブログでその想いを綴った。「同級生が監督をする、そんな年齢になったのかな。しかも由伸が…」。元巨人のエースからメジャー屈指のクローザーにまで上り詰めた男は「最後に、おめでとう、でいいんかな? って言って電話を切った。来年のジャイアンツはどうなるのか。お互い頑張ろうぜ、由伸!!」と海の向こうから元チームメイトの盟友にエールを送ってみせた。

 そんな高橋由伸と同級生たちの関係性を近くで見ていた古城茂幸(巨人13年引退)は、自著の中で楽しそうにこう振り返っている。「ウエ(上原)も由伸に対しては、ライバル意識はあるんだろうけど、崇拝していると思う。同級生はみんなそんな感じだった。俺もたびたび『メシに行こう』と誘われたけど、いまだに心のなかで〝俺も一緒でいいの!?〟と恐縮する」(「プロ野球生活16年間で一度もレギュラーになれなかった男がジャイアンツで胴上げしてもらえた話」より)

 他球団の同級生の選手も同様に「由伸と話すと緊張する」と言っていたという。そんな75年生まれの「由伸世代」の男たちも、2015年それぞれ野球人生の岐路に立つ。00年代前半から中盤にかけて由伸と投打の柱として巨人を支えた高橋尚成(DeNA)は今季限りで現役引退。ユニフォームを脱ぐ者、指導者になる者、そして大役を引き受けた者。

 まさかの高橋監督誕生。巨人ではあの長嶋茂雄以来の引退即監督就任。チームが一部選手の野球賭博問題で揺れる中での決断となった。東京ドームでも爆発的な歓声を受ける背番号24の突然の引退に戸惑うファンは多い。もちろん寂しくないと言ったら嘘になる。だけど一方で「まだやるのか?」より「まだやれる」と惜しまれながら辞めるのもプロ野球選手としては幸せだとも思う。

 僕らの世代のスーパースターから巨人新監督へ。
 高橋由伸、40歳。新たなる挑戦が、今、始まる。

文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)
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