シーズン途中でクローザーから先発へ転向し、10勝3敗10セーブの成績を残した日本ハム増井が、来季も先発で起用される方針であることがわかった。

　2012年には45ホールドで最優秀中継ぎ投手となり、昨シーズン39セーブをあげる活躍を見せた増井は、今年も開幕から守護神として絶対的な信頼と期待を寄せられていた。しかし増井の救援失敗で僅差のゲームを落とす場面が増え、全く調子のあがらない中、6月20日に2度目の登録抹消。

　そんな増井に対して栗山監督が行ったのが、荒療治ともいえる先発への配置転換だった。登板間隔も調整法も全く異なる抑えから先発へ、それも本人の調子が上がらないなかでの転向ということで、当初は栗山監督の決断に否定的な意見も聞かれたが、増井は見事に監督の期待に応えて見せた。

　登録抹消から約1か月半の調整を経て、8月4日に今季初先発をはたしてから、8月25日のロッテ戦ではプロ初完投勝利をあげるなど、増井は期待以上の活躍をみせ勝ち星を積み重ねた。特にソフトバンクと熾烈な優勝争いを繰り広げていたペナントレース最終盤の9月は登板5試合で5勝0敗、防御率1.10という驚異的な数字を残した。

　さらに、シーズン最終戦の9月30日ロッテ戦、引退試合として先発した武田勝のあとをロングリリーフというかたちで引き継いでの勝利で自身初の二桁勝利10勝目を挙げた。

　CS、日本シリーズでは勝利はつかなかったものの3試合に先発、結果として日本ハムの大逆転優勝と日本一の立役者の一人と言っても過言ではない活躍をみせた。

　来季は優勝を逃したソフトバンクが、ペナント奪還にむけて開幕からかなり気合を入れてくるだろう。日本ハムは、今季のようなスタートでの躓きがあると致命傷になることは間違いない。

　さらに、今季先発からセットアッパーまで起用にこなし、日本シリーズでも5試合に登板し3勝をあげる活躍を見せたバースが退団。日ハム投手陣は来季に向けてまだまだ安泰というわけにはいかない状況だ。

　シーズン途中から先発に転向し、10勝をあげた増井が開幕からローテーションの柱として力を発揮することで、今年とはまた一味違ったハイレベルなペナントレースが見られるだろう。